核心にシュートを!BACK NUMBER
「長谷部誠の半生は日本サッカーの財産」“生意気な後輩”鎌田大地に慕われ、岡田武史から「誠実」と評され…長年追う記者が確信する理由
posted2024/06/09 17:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Itaru Chiba
日本代表と長谷部誠のストーリーは、世界中で愛されている漫画『ドラゴンボール』のような魅力がある。
長谷部が代表に定着してから、2010年と2014年のW杯を経て、2018年のロシアW杯へと向かっていく旅は、緊迫感と喜怒哀楽に包まれた成長の物語だった。だから人々は夢中になった。
それでいて、代表に定着する前のエピソードは、「孫悟空」の少年時代のようなクスッとできるものも少なくない。
2002年日韓W杯の第2戦。ルーキーイヤーの長谷部は、浦和レッズの同期だった徳重健太と一緒に、熱狂に包まれた横浜国際競技場にいた。ゴール裏席から、ロシア相手に日本代表がW杯初勝利を挙げたのを目撃した。
2006年ドイツW杯は、自宅のTVから見届けた。ただ、「気分が上がるから」と日本代表のユニフォームを着ながら観戦したという。この年の2月には長谷部もジーコ監督の下で代表デビューを果たしていたのだが……。ともかく、後の長谷部からは想像しづらい、サッカー少年のようなチャーミングなエピソードだ。
はっきりしているのは、当時から長谷部の日本代表にかける想いは強かったこと。そうしたバックボーンがあるからこそ、日本代表を応援する人たちの気持ちを理解できていたのかもしれない。
代表引退前に思い出した“生意気な後輩”鎌田の言葉
ロシアW杯ベルギー戦の翌日、インスタグラムでファンに向けた感謝のメッセージを投稿したのにも意図があった。
「ハセさんくらい長く代表で戦ってきた選手は、代表に区切りをつけようと思ったときにはファンやサポーターに感謝を伝えた方がいいんじゃないですか?」
フランクフルトでチームメイトだった鎌田大地からそう言われたことがある。
代表引退に合わせてどのような形でファンに謝辞を届けるべきか。考えを巡らせていくなかで、鎌田と以前かわした何気ない会話を思い出したという。