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久保建英22歳が語った「あれがいまの自分の限界」…イランに力負け、疑問が残る交代策でピッチを退いても“悲壮感”がなかった理由とは
posted2024/02/04 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
これが現実なのだ。
アジアカップの準々決勝で、日本はイランに1対2の逆転負けを喫した。前半に守田英正が先制ゴールを奪ったが、後半10分に同点とされる。1対1のまま推移したアディショナルタイムにPKを献上し、最終盤で突き放された。
「僕らが試合を決め切るチャンスがあったので」
久保建英が振り返る。
「点が入っている前半は負ける気はしなかったですけど、後半に入ってちょっと、相手が蹴ってきて、それを拾って、押し込まれる展開になっていたので。ちょっと悪い流れになっていたんですけど、そこまで悪くはなかったので、なんとか延長へいきたいなって感じでしたけど、最後にPKでやられてしまって」
後半はほぼ一方的に押し込まれていたことを考えれば、結果は必然的だったと言える。前線へのシンプルなパスとロングスローで圧力をかけてくる相手に、力負けしたのだった。
ならば、勝つチャンスはなかったのか。
そうではない。
久保が言う。
「相手は割り切って蹴ってきた展開でしたけど、僕らが試合を決め切るチャンスがあったので」
1対0で推移していた後半開始直後の51分、久保は左サイドからピンポイントクロスを供給する。CBの頭上を越えたボールは、フリーで待ち構える上田綺世にピタリと通った。しかし、背番号9のヘディングシュートはバーの上を越えていった。
久保自身も決定機をつかんでいる。53分、相手GKのフィードを前田大然が敵陣で引っ掛け、上田から守田、そして久保へパスが通る。ペナルティエリア内左から右足でシュートを放ったが、ゴール右へ逸れていった。
どちらかひとつでも決まっていれば、試合の行方は違っていただろう。そして、久保自身の決定機を最後に、日本は相手ゴールへ迫ることができなかった。イランの圧力に呑み込まれていったのだが、そこには選手交代が関わっている。55分に1対1に追いつかれると、森保一監督は67分に久保と前田を下げ、南野拓実と三笘薫を投入したのだった。