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板倉滉に起きていた“異変”…まさかの敗戦直後、板倉がメディアに唯一“答えなかった質問”とは?「体調不良」はPK献上に影響したか
posted2024/02/08 17:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
アジアカップ準々決勝で日本が敗退してから数日が過ぎた。
さまざまな敗因が挙げられる中で今なお腑に落ちないのが、イラン戦の後半アディショナルタイムに相手にPKを与えて「きょうの敗因は自分にある」と責任を背負い込み、「このままだと代表のピッチに立つ資格はない」と自身を責めた板倉滉(ボルシアMG)のパフォーマンスだ。
カタールW杯で日本代表の中軸へと成長を果たした27歳のセンターバックは、守備の要であるだけでなく攻撃の組み立ての部分でも大きな役割を担い、また、明るいキャラクターでチームをポジティブな方向に引っ張る存在となっている。
ところがイラン戦ではおよそ彼らしくないプレーが散見された。その前段階ではグループステージ第3節のインドネシア戦で「体調不良」を理由にベンチ外となっていた。しかし、真相や詳細は明らかにされていない。
イラン戦に至るまでの板倉は、カタールでどのような様相を見せていたのか――。
グループステージで語っていた「一人のミスはチームのミス」
板倉は4-2の逆転勝利で勝ち点3を手にしたグループステージ初戦のベトナム戦に谷口彰悟とのセンターバックコンビで先発し、フル出場した。日本は前半、守備がはまらず苦労したが、実力差にものを言わせて白星スタートに成功。板倉は「相手のアグレッシブさや、セカンドボールが相手にこぼれて厳しい戦いだったけど、1戦目でこういう試合ができたことをポジティブに捉えたい」と兜の緒を締めていた。
2戦目のイラク戦もセンターバックとしてフル出場した。日本は相手のロングボール戦法に苦しんで自陣深くに押し込まれ、前半のうちに2失点して1-2と敗戦。この試合では鈴木彩艶のゴール前でのボール処理や、右サイドバックの菅原由勢が対人守備でやられたことに批判の声が集まったが、板倉は冷静な表情で首を振り、こう言った。
「外からの目だとフォーカスされてしまうけど、やっている中では気になっていない。一人のミスはチームのミス。どれだけチームとして戦えるかが大事になる」
失点はチームが負うことだと言い切り、「ここから盛り返して優勝まで行きたい」と語る表情にはリーダーとしての自覚も漂っていた。苦しい時に苦しそうな顔を絶対にしない。ポジティブな言葉を重みを含みながら発信することができる。それが板倉の人間力だ。
板倉滉の異変…記者陣に緊張感が走ったシーン
この様相が一転したのが、1月24日のグループステージ最終第3節のインドネシア戦だ。先発発表のリストが届くと、プレスルームにいる日本の記者陣に驚きが走った。