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「(日本は)備えが非常にずさん」「(韓国には)思わずめまいがした」韓国人記者が辛口批評せざるを得ない日韓両国のアジア杯GL総括《決勝Tへの課題は?》 

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姜亨起

姜亨起Kang Hyeong Gi

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posted2024/01/30 11:00

「(日本は)備えが非常にずさん」「(韓国には)思わずめまいがした」韓国人記者が辛口批評せざるを得ない日韓両国のアジア杯GL総括《決勝Tへの課題は?》<Number Web> photograph by JIJI PRESS

韓国紙記者に「苦戦している」と指摘された久保。決勝トーナメントへ向け調子を上げられるか

 リュ・チョン記者は日本のグループステージ全3試合を現場で取材しながら、「強みとする部分は変わらず強力だが、“予想よりは強くない”と何度か感じた」という。それはなぜか。

「ベトナムは日本のプレスを上手くかわしていましたし、インドネシアも相手にボールを支配されながら、直線的なサッカーで何度もチャンスを作っていました。日本は試合をリードしても決定機を作れなかったり、絶対にゴールを決めなければならない状況で点が入らなかったりと、自ら崩れているような印象を受けました」

 特に、イラク戦に1-2で敗れた日本を「組織として完璧ではなかった」として、「日本戦に向けて非常に良い準備を進めていた」と勝者を称える。

「イラクは最前線にパワーと高さのある選手を起用し、日本の守備陣を苦しめましたね。サッカーはフィジカルコンタクトが激しいスポーツ。いくら技術が優れていても、パワーや体格、高さを前面に出した相手には手を焼くものです。それに、アジアでは日本相手にカウンター狙いの戦術を採るチームがほとんどだと思いますが、イラクはそこにスピードがあって正確。何より、“日本に勝ちたい”という選手全員の意志が強かった。その勢いに、日本が耐えられなかったと思います」

中東勢の堂々たる戦いぶり

 韓国もヨルダンにあわや敗戦のドローを演じるなど、同じく中東勢に手こずった。スポーツ紙の老舗『スポーツソウル』サッカー担当のキム・ヨンイル記者は、こうした苦戦ぶりについて「優勝候補の韓日を“パワーサッカー”が脅かす」と題した記事で、次のような分析を伝えている。

「(中東勢の好調を)単なる異変と見ることはできない。日本はイラク、韓国はヨルダンに押される試合を展開した。具体的に言えば、中東勢に対する備えが“非常にずさん”だったことを証明した。イラクとヨルダンはDFラインを過度に下げることなく、強いプレスを土台に攻撃をコントロールし、鋭いカウンターを繰り広げた。

 身体条件では欧州にも劣らない中東の選手は、特有の荒く巧妙な反則などで相手を萎縮させる力がある。日本と韓国の経験豊富な選手でさえも心理的に動揺し、攻守で間隔が開く場面が多かった。韓日は確実な対処法を見出せず、選手個人の能力に依存せざるを得なかった」

 とはいえ、元旦にAマッチ最長連勝記録を更新した森保ジャパンは、韓国国内でも大会前から「アジアカップの有力な優勝候補」と評価されていた。そんな隣国が苦戦を強いられる光景に、リュ・チョン記者は「サッカーの“妙”を感じた」という。

【次ページ】 日韓対決の可能性

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