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DeNAに突如誕生、「オフェンスコーチ」って何をする? アナリストから抜擢、靏岡賢二郎に聞いた“ミッション”「僕のような人間でも勝利に貢献できる」
posted2024/01/29 11:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Nanae Suzuki
今シーズンから横浜DeNAベイスターズに新設された“オフェンスコーチ”とは、一体どのような役割を担う存在なのか。
野球業界では聞き慣れないポストに就任した靍岡賢二郎一軍オフェンスチーフコーチは、決意するように神妙な面持ちで語った。
「これまでNPBにはなかったポストでしたので、最初に聞いたときは驚きました。ただ、この4年間(チーム付き)アナリストとして勉強してきたので、今はその力をチームに還元したい気持ちが強いです」
戦略面に特化したコーチ
アナリスト(スコアラー)になって2年目の2021年シーズンからベンチに入り、前列に陣取って相手投手の分析や、打席へと向かう選手たちへデータ結果に基づいたアドバイスを送ってきた。果たしてアナリストからオフェンスコーチになることで、これまでの業務となにが大きく変わるのか。
「わかりやすく言うと、これまではベンチの中で選手に対応してもらっていたものを、今後は監督・コーチへ対応する形にシフトチェンジします。攻撃において、主に相手チームのピッチャーの分析、攻撃面でのプランニングをしていくことになります」
攻撃における采配の指標となる分析や戦略に特化した分野を担うのがオフェンスコーチだ。26年ぶりのリーグ優勝・日本一を目指すDeNAの新機軸。靍岡コーチの抜擢にあたり萩原龍大チーム統括本部長は「これまでコーチの役割として、選手のパフォーマンスを上げる部分と試合に勝つ作戦的な部分の2つをごちゃ混ぜにしてきました。オフェンスコーチは、試合におけるデータ、アナリティクスにおいて責任を持つことになります」と語っており、つまり靍岡コーチは指導をほぼしない、戦略面におけるスペシャリストということになる。
プロ5年→コーチ→アナリストに
球界全体を見渡せば、これまでベンチ内のスコアラーが首脳陣に提言をしたり、また“作戦コーチ”という立場で選手育成も同時に行う指導者はいたが、攻撃面のみに注力する靍岡コーチのようなケースは、NPB初の試みだと言っていいだろう。