「大げさかもしれないけど“自分のバッティングの5割”と言ってもいい存在ですね。ベンチにいて、自分のデータやその日の相手の特徴などいろいろ教えてくれるので、めちゃくちゃありがたいです。アドバイスにしても難しいことを言うのではなく、その都度、簡単に大事なことを伝えてくれるので、すごく打席に入りやすくなるんです」

本当に助かる場面が多くありました

　また昨季、走塁などで存在感を示した知野直人も、靍岡コーチに信頼を寄せている。

「頼りにさせてもらっています。相手バッテリーの配球面はもちろん、代走として出場するときも相手投手のデータ的特徴などのアドバイスをもらって、本当に助かる場面が多くありました。チームの誰にとってもなくてはならない存在だと思いますよ」

　靍岡コーチとしても、選手が結果を出してくれることがアナリストとして一番の喜びだったという。

「自分が提言したから結果が出たとは思わないのですが、それでも選手たちから『ツルさんのおかげで打てました』と言ってもらえると嬉しいですよ。スタジアムにビデオルームという僕らの仕事場があるんですけど、そこに足を運んでくれる選手が多くなってきているので、そういうときはやりがいとか、この仕事の喜びを感じられますね」

監督にベストな戦略を提案していきたい

　とくに昨季は選手ばかりでなく、監督やコーチ陣に対し提案の量や回数を増やし、質を高めたことで「今日はそれで行ってみよう」という返答を受けることも多くなった。このように選手や首脳陣から絶大な信頼を得たことで、オフェンスチーフコーチへの大抜擢となったのだろう。

　今季からは選手個人ではなくチームにコミットして力を発揮するわけだが、イメージしている戦略などはあるのだろうか。もちろん開幕前ということもあり詳しい話は聞けなかったが、靍岡コーチはいくつか鍵になるヒントを教えてくれた。

宮﨑　©Naoya Sanuki

「うちのチームの場合は、佐野恵太、牧秀悟、宮﨑敏郎という長打を打てる好打者が揃っているので、毎イニングといかないまでも、クリーンナップの前に必ずランナーがいる状況を作り出すことを最優先に考えたい。選手が迷ってヒットを打てなかったり、フォアボールを取れなかったりすることは避けたいので、送り出すためにしっかりと頭をスッキリさせて、状況に応じて自分の役割がわかるような後押しをしていきたいですね。打撃コーチや走塁コーチ、野手アナリストから情報をもらいながらプランニングを進めて、監督にベストな戦略を提案していきたいと思います」

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