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「後の日本王者が3人、箱根駅伝で区間新が2人」福島・学法石川高“奇跡の世代”誕生のウラ話…「ロードは走らない」超特異な練習スタイルのワケ

posted2024/01/20 17:00

 
「後の日本王者が3人、箱根駅伝で区間新が2人」福島・学法石川高“奇跡の世代”誕生のウラ話…「ロードは走らない」超特異な練習スタイルのワケ<Number Web> photograph by AFLO

遠藤日向(左)や阿部弘輝(右)ら名選手が揃い、まさに「奇跡の世代」だった2015年の学法石川高。彼らの成長の裏にあったものは…?

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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 100回目の箱根駅伝が青山学院大の優勝で終わり、1月21日の都道府県対抗男子駅伝で今季も駅伝シーズンが幕を閉じようとしている。そんな中、多くのランナーの出身校として耳にした高校のひとつに福島・学法石川高校がある。

 駅伝ファンには「ガクセキ」の愛称で親しまれる同校だが、かつて自他ともに認める“黄金世代”があった。今から9年前の2015年。後の日本王者を3人、箱根路で区間新記録を出した選手2人を擁し、全国的にも注目を集めていた当時の同校。だが、ついに駅伝では日本の頂点に立つことはなかった。他に類を見ない「奇跡の世代」は、いかにして誕生したのだろうか(全3回の第1回/第2回第3回へ続く)。

日本王者が3人、箱根区間新記録が2人…学法石川「黄金世代」

 今振り返ってみても、2015年の全国高校駅伝に臨む福島・学法石川高のメンバーは奇跡のような顔ぶれだった。

「日本選手権のチャンピオンが3人。箱根駅伝で区間新記録を樹立した人が2人。こんなチームは今も昔もなかなかないんじゃないですかね」

 こう話すのは、当時このチームをキャプテンとしてまとめていた阿部弘輝(住友電工)だ。

 3人の日本チャンピオンとは、800m(2021年)の田母神一喜(III F)、5000m(2021、22年)の遠藤日向(住友電工)、1万m(2020年、22年)の相澤晃(旭化成)。阿部自身は大学4年時に箱根駅伝7区で区間新記録を打ち立て、同じ年の箱根2区では、相澤もまた当時の区間記録を更新した。

 駅伝ファンには「ガクセキ」の愛称で親しまれる同校だが、2015年のガクセキは、3年に阿部、田母神、相澤、2年には遠藤、1年に後に1500mのインターハイチャンピオンになる半澤黎斗がいた。阿部が言うように、まさにドリームチームというべきメンバーがそろっていた。

 もちろん彼らがこれらの活躍を見せるのは後年のことではある。

 だが、当時からすでに田母神と遠藤はインターハイでトップクラスの成績を残し、ユース年代の世界の舞台を経験していた。加えて、高校生でトップランナーの証とされる5000m13分台を遠藤、相澤、阿部の3人がマーク。それだけの素材が揃うとなると、当然、全国高校駅伝でも「優勝候補の大本命」という機運が高まっていた。

 福島県民にとってガクセキといえば、かつては野球のイメージが強かった。

 だが実は、駅伝でも1981年と93年に全国大会に出場している。ちなみに、93年には現東洋大監督の酒井俊幸が都大路を走っている。しかしその後は、県立の田村高が力を付けたこともあって、全国の舞台から遠ざかっていた。

【次ページ】 「日本一を目指すのが当たり前」という環境

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