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《山本由伸2世》補強ポイントは野手にもかかわらず、カープが19歳右腕・日高暖己を人的補償で獲得した背景 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/01/15 11:00

《山本由伸2世》補強ポイントは野手にもかかわらず、カープが19歳右腕・日高暖己を人的補償で獲得した背景<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1月11日の入団会見でポーズをとる日高。背番号は70に決まった

 野手の獲得を見送り、候補選手を投手に絞ると、もう答えは出ていた。フロント、現場ともに「おもしろい」と名前を挙げたのは、日高だった。

 ドジャースへ移籍した山本由伸に似たフォームと素質から「由伸2世」とも呼ばれる。テークバックが高校時代よりもコンパクトとなり、スムーズな腕の振りから安定感が増したように感じられる。投手歴が浅い高校時代は未知数の投手だったが、今では大化けの可能性も感じさせる投手へと成長した。

台頭が望まれる次世代の中核

 広島は4年連続Bクラスから昨季2位に躍進したとはいえ、新井監督にとってはまだチームづくりの途上にある。監督1年目の昨季は実績ある中堅以上の選手たちをうまく起用しながら乗り切ったが、次シーズン以降を考えると、次世代の選手たちが柱となっていくことが求められる。

 今オフに侍ジャパンにも選出された今年26歳の坂倉将吾、同24歳の小園海斗が候補となる。坂倉と同学年の選手が9選手在籍しているチーム編成からも、球団の思いが感じられる。彼ら20代半ばの世代がチームの中心を担っていかなければいけない。

 球団幹部は「核となる世代が定まれば、チームづくりは進んでいく」と言う。

 3連覇のときがそうだった。タナキクマルと呼ばれた田中広輔、菊池涼介、丸佳浩(巨人)をはじめ、野村祐輔、安部友裕の世代を中心としたチームづくりで、ベテランと若手がうまく融合。外国人選手の補強もはまった。

 世代交代がうまく進まなかった背景には、若手の伸び悩みだけでなく、近年のドラフトで即戦力タイプを上位指名してきたこともあった。短期的だけでなく、中長期的ビジョンがなければチームはうまく回っていかない。

「何年ユニホーム着ているか分かりませんけど、中期的、長期的なビジョンを頭に入れてやっていきたい」

 新井監督も就任時から球団と同じ青写真を描いていた。就任初のドラフトとなった22年は1位で苫小牧中央高・斉藤優汰を指名し、2位も高卒野手の利根商高・内田湘大を指名した。彼らと同世代が、日高だ。現有戦力の中心世代を支える若手層として、その先の中心世代の担い手として、その名の通り“あつみ”を加える存在となることが期待される。

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