Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「浦和0-3マンC」衝撃の完敗を選手以上に痛感すべきは…“クラブW杯で本気の欧州メガクラブを倒す気概”がレッズ、そしてJリーグ勢にあるか
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by Lars Baron-FIFA/Getty Images
posted2023/12/21 11:03
マンチェスター・シティ相手に完敗を味わった浦和レッズ。クラブ全体として教訓とすべきこととは
「低い位置で構えると、ボールを奪えてもノーチャンスだから、点を取るためにもう少し前から圧を掛けたくて。ウォーカーから奪えたシーンはそれが良いほうに転んだし、失点シーンは悪いほうに出てしまった。そこの見極めをもっと上手くできればよかったんですが……」
90分間押し込まれたこの試合において、小泉と関根は勇敢にプレーし、自身の良さを表現していた選手たちである。小泉は激しいプレッシャーを受けながらもマークを剥がしたり、冷静にスペースを見つけ出していた。関根も不慣れなポジションでの起用だったが、中盤インサイドに立ってボールを引き出すなど、光るプレーがいくつもあった。
そんな彼らが失点に絡んでしまうのだから、サッカーは不条理であり、残酷なスポーツだ。
“その先のアイデアと迫力不足”はいつも通りとも言えた
最終スコアは0-3。シティは12月16日にプレミアリーグのクリスタルパレス戦を終え、7時間ほどのフライトを経てイングランドと20度近くの気温差があるサウジアラビアにやって来たばかり。浦和にとってはアップセットの好条件が揃っていたものの、完敗だった。
ただ、浦和が今のチームとしてできる最大限の戦いを見せたことも事実だ。
相手ボール時にはJ1最少失点のベースとなった4-4-2の守備ブロックで中央をしっかりと締め、ボールをサイドに誘導して対応。ボール保持時には2人のセンターバックと岩尾憲によるビルドアップから、関根や小泉、安居海渡、伊藤敦樹が相手の中盤の背中を取ることができた。その先のアイデアと迫力に欠けるのは、いつも通りと言えばいつも通りだろう。
選手たちが語った“マンCの衝撃と刺激”
カタールワールドカップで日本代表がドイツとスペインを破ったように、後半に一気にギアチェンジできれば良かったが、三笘薫や浅野拓磨、伊東純也、前田大然といった乾坤一擲のロングカウンターを繰り出せる選手が今の浦和にいないのも周知の通り。だからこそ、小泉は少しでも高い位置でボールを奪おうと試みたのだが……。
当然ながら、試合後のミックスゾーンではこの一戦がいかに刺激的で、どれだけ貴重な経験となったかを選手各々が語っていた。