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「タイムは最強」アメリカ名門大学チームは、なぜ駅伝で苦戦する? アイビーリーグ選抜監督に聞いた敗因「招待いただいたのに…悔しすぎる」 

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齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/11/05 06:00

「タイムは最強」アメリカ名門大学チームは、なぜ駅伝で苦戦する? アイビーリーグ選抜監督に聞いた敗因「招待いただいたのに…悔しすぎる」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

これまで計23回、出雲駅伝に参戦してきたアイビーリーグ選抜。ベスト記録は日本選手を上回るが、なぜ苦戦が続くのか。監督に聞いた

「実は選手たちのほとんどは、在学中の現役学生ではありません。約1週間日本に来ることができる卒業生を中心に集めています」

 え? そうなんですか? 大学生ランナーと戦っていた彼らは卒業生だったとは。

 選手のリクルーティングはフルツ監督が毎年、アイビーリーグのコーチなどに声をかけているという。これまで年齢などの条件をその時々の状況に応じて変更しながら選手を募ってきた。今年は履歴書とベストタイムで判断したが、応募者が殺到したシーズンは選考会をすることもあれば、一時期はアイビーリーグ以外にも門戸を広げた時期もあったそう。

タイム自体は嘘偽りないが、ベスト・シェイプではない

 現在は「アイビーリーグ卒の27歳となる者まで」を選考対象とすることになったというが、選手たちは走ることを生活のメインにしている「プロのランナー」なのだろうか?

「彼らのほとんどは大都市でフルタイムワークをしている会社員です。そのため、タイム自体は嘘偽りないのですが、そのタイムを出した時のベスト・シェイプ(調子)とは程遠いケースが多い。例えば10000m27分45秒77という記録を持つ3区のマシュー・プレイラ(ハーバード大)は彼なりに努力したとは思うのですが、事前に『今はベスト・シェイプではない』と自覚して、僕たちに教えてくれていました。一方で日本の大学の選手は人生におけるベストの状態であることがほとんど。それがこれだけの差につながっていると思います」

 都市圏で仕事に明け暮れる社会人ランナーが大学時代と同じ実力を維持するのは容易なことではない。そもそも10月はアメリカのトラックシーズンでいえばオフの期間。加えて現役時代からブランクのある選手が多く、いろんな意味でオフの期間だった彼らは本来の実力を発揮できずに終わっていたというわけだ。

彼らが残したのは「残念な結果」だったのか

「いろんな状況があったにせよ、8位以内、せめて10位以内を目標にしていたので、今回の結果は残念に思います。日本学生陸上競技連合と出雲市に招待いただき、両団体が素晴らしいサポート、歓迎をしてくださった。だからこそもっと良い結果で何かお返しをしたかったと悔しく思う気持ちが強いです」

【次ページ】 王者・駒澤大学の前を走る勇敢な逃げ

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