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派手な髪色、ネイルもオシャレ…等身大の大学生でも《学生最速》大ケガから復帰の青山華依が示す“次世代スプリンター像”「来年は髪もバチバチに…」
posted2023/11/04 17:00
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
AFLO
期待の学生最速スプリンターがトラックに戻ってきた。
11月3日に静岡の小笠山運動公園で行われたエコパトラックゲームズ。東京五輪4×100mリレー(R)代表の青山華依(甲南大3年)が、女子100mと4×100mRに出場し、約1年ぶりの実戦復帰を果たした。100m予選では11秒93(−0.1)で組トップ、4×100mRでは4走に入り、全体1位の45秒42をマーク。100m決勝はハムストリングスの痙攣で棄権したが、来季の完全復活に向けて確かなスタートを切った。
◆◆◆
青山は、高校時代から女子日本短距離界の“次世代スター”として将来を有望視されてきた。
父は4×100mRの第2走者として、母は走高跳でそれぞれインターハイ優勝という実績を持つ陸上一家育ち。父と同じ強豪・大阪高校に進み、2年生だった2019年の日本選手権女子100mで3位入賞を果たす。翌年度にはシレジア世界リレー選手権の代表選考レースを高校歴代4位タイの11秒56(−0.4)で制した。
卒業後は兵庫・甲南大に進学し、男子100m元日本記録保持者の伊東浩司氏に師事。入学直後の5月、世界リレーに日本代表として出場し、第1走者を務めて4位に入り、日本女子2大会ぶりの五輪出場権獲得に貢献した。東京五輪でも1走を務め、日本チームは歴代2位の43秒44という好タイムをマークしている。
「競技もオシャレも楽しみたい」という意思
青山はそのスピードだけでなく、女子大生としての等身大の姿も魅力のひとつだ。
伊東氏も「競技もオシャレも楽しみたい」という彼女の意思を尊重し、これまで“暗黙の了解”で禁止していた派手なヘアカラーやネイルは、青山の入学と同時に自然と“解禁”された。
好きな髪色やメイクで個性を打ち出しながら、第一線で速さを追求する――まさに次世代アスリートのアイコン的な存在でもある。
そんな天真爛漫な若手スプリンターを、思わぬアクシデントが襲った。
2月上旬、ハードルジャンプの最中に、左ひざの前十字靭帯断裂、内側半月板損傷の大怪我を負ったのだ。踏み切り時、膝が内側に倒れる癖が出て、骨がずれる感覚がしたという。「痛い」。スピードに乗って着地を数回繰り返した後、膝から崩れ落ちて地面から動けなくなった。青山本人が当時を振り返る。