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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「タイムは最強」アメリカ名門大学チームは、なぜ駅伝で苦戦する? アイビーリーグ選抜監督に聞いた敗因「招待いただいたのに…悔しすぎる」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byNanae Suzuki
posted2023/11/05 06:00
これまで計23回、出雲駅伝に参戦してきたアイビーリーグ選抜。ベスト記録は日本選手を上回るが、なぜ苦戦が続くのか。監督に聞いた
「今回の出雲市内の沿道での応援にはいつもながら本当に感動しました。選手たちにも刺激になったようで、『もっといい走りを見せたい。また来年も来たい』と言っていました」
20年以上にわたって日本の大学駅伝に出場してきたフルツ監督の目に、駅伝という文化はどう映っているのか。
「まず、学生の長距離の種目がここまで熱気を持ってファンに親しまれているのが驚きです。だから、エキデンの話をするとアメリカの友人からは羨ましがられるんです。アメリカの大手紙スポーツ欄は約9割がNFL(アメフト)、MLB、NBA、NHL(アイスホッケー)で占められている。ただ日本では長距離の競技性が評価されていて、実績を収めたランナーには相応の評価がされていますよね。アメリカにもフランク・ショーター(1972年ミュンヘン五輪マラソン金メダリスト)やビル・ロジャース(ボストンマラソン3連覇)といった有名なランナーはいますが、その知名度はランニング・コミュニティー内にとどまっている。ただ日本ではエキデンやマラソンで活躍したランナーは競技の枠を超えて名が知られているようで、それは素晴らしいことだと思います」
古くからある伝達の制度で、いわば日本の文化遺産
続けてこんな熱い思いを語ってくれた。
「歴史的に見れば、エキデンというのは日本に古くからある伝達の制度で、いわば日本の文化遺産。それが今にも生きて、競走の形になってからも100年以上を誇る伝統行事といえるイベントです。それにアメリカから参加できることを本当に誇りに思うんです。だからこそ、代表としてその責務を果たせたのか。そう考えると、やはり悔しい。そんな思いが込み上げてきてしまうんですよね」
最後には再び悔しさを口にしたフルツ監督。
では、ボストンマラソンの優勝経験もある老将は駅伝とマラソンの競技面での関係をどう見ているのか。話を振ると返ってきたのは……
<続く>