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プロ野球PRESSBACK NUMBER
岡田彰布が嬉しそうに「森下翔太、いいでしょう」…恩師・安藤統男が語る“岡田が名将たる所以”「話題の『アレ』は単なる言い換えじゃない」
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/10/23 11:05
岡田彰布監督のもと、クライマックスシリーズも危なげなく勝ち抜いた阪神タイガース。元監督の安藤統男が語る“強さの理由”とは
第1次政権下では、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之による「JFK」が勝利の方程式を確立し、チームを優勝に導いた。今年の阪神もまた、先発陣からのバトンを託されたリリーフ陣が盤石だったからこそ、他球団を圧倒する強さを発揮したのだと安藤は分析する。
「森下はどうですか?」開幕前に岡田と交わした会話
もちろん、セ・リーグナンバーワンとなるチーム得点555を叩き出した攻撃陣の活躍も見逃すことはできない。
「まずは1番・近本(光司)、2番・中野(拓夢)を固定したこと。そして、4番の大山(悠輔)をどんなときでも使い続けたこと。さらに、8番の木浪(聖也)がどんなに活躍しても決して8番から動かさなかったこと。岡田監督の起用がズバリと当たりましたよね」
特に安藤が感嘆するのは、3番にルーキーの森下翔太を抜擢したことだ。
「今年の開幕前に練習を見ていたら、“森下はどうですか?”と岡田から聞かれました。確かに非凡なものがあったから、“いい選手だね”と言ったら、とても嬉しそうに“ね、いいでしょう”と……。だから、“一軍でも抜擢するつもりなんだな”とは思っていたけど、まさか3番を任せるとは思わなかった。そして、結果的に森下が打線の歯車となる試合も多かった。当初はノイジーを3番にするつもりだったんだと思うけど、彼の調子が上がらないとなって、すぐに森下を起用した。この辺りも岡田監督の決断が冴えていましたよね」
こうして、圧倒的な強さを見せつけてリーグ優勝を飾った。そして、1985年以来となる日本一を目指して日本シリーズに臨むことになった。安藤の見立てを聞こう。
「岡田監督は腹が据わった采配ができるのが強みです。前回のJFKもそうだし、今年の石井や島本もそう。就任早々、中野をセカンドにコンバートして、ショートを木浪と小幡(竜平)に競わせたこともそう。選手起用だけでなく、特に継投に関しては打者1人でズバッと交代するなど、勝負勘もある。死角は見当たらないと思います」