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プロ野球PRESSBACK NUMBER
岡田彰布が嬉しそうに「森下翔太、いいでしょう」…恩師・安藤統男が語る“岡田が名将たる所以”「話題の『アレ』は単なる言い換えじゃない」
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/10/23 11:05
岡田彰布監督のもと、クライマックスシリーズも危なげなく勝ち抜いた阪神タイガース。元監督の安藤統男が語る“強さの理由”とは
安藤の構想では「84年はライトで起用しつつ、完治したらセカンドに戻そう」というプランを抱いていた。しかし、安藤はこの年限りでチームを去る。そして、後任の吉田義男監督の下で、岡田はセカンドに復帰。85年の日本一の立役者となるのである。
「完全に治るまではセカンドでは使わない。その思いは本人にも伝わっていたと思います。“とにかく大事に使おう”“この選手を潰したら大変な損失になる”という思いでした。結果的に、その後も長くチームの中心として活躍できたことは本当によかったと思います」
「岡田は投手の整備に長けた監督」
安藤が阪神を去った後も、岡田は中心選手として活躍を続けたものの、1993年、新庄剛志、亀山努ら若手の台頭もあり、この年限りでチームを去る。その後、95年までオリックス・ブルーウェーブに在籍し、現役を引退する。
この間、安藤は「元監督」として、阪神戦を中心とした評論活動を続けていた。両者の関係が再び濃密となるのは2004年、岡田が監督となってからのことだった。そして、二度目の就任となった今年、岡田は再び優勝監督として甲子園の宙を舞った。
「岡田はピッチャーの整備に長けている監督だという印象が強いですね。今年に関して言うと、青柳(晃洋)、西(勇輝)、伊藤(将司)までは開幕前から頭数に入っていました。だけど、“どうしても先発が足りないな”と思っていたところ、村上(頌樹)、大竹(耕太郎)が出てきた。故障明けで不安が残る才木(浩人)も8勝をマークしました」
チーム防御率はセ・リーグ唯一となる2点台、2.66を記録した。その原動力となったのは安藤の指摘するリーグ有数の先発陣だけではなく、中継ぎ陣もまた盤石だったからだ。
「クローザーの湯浅(京己)が離脱したときには、“ちょっと厳しいな”と、誰もが思ったと思います。でも、その穴を岩崎(優)が見事に埋めました。でも、岡田采配が見事だったのは、その岩崎の抜けた部分もキチンと埋めたことでした。それが、石井(大智)や島本(浩也)の台頭です。あまり実績のない投手だったけど、それでも試合の大事な場面で臆することなく起用していく。そして、結果を残すことで、彼らもシーズン中にどんどん自信をつけていく。かつてのJFKもそうだったけど、ここに岡田監督の巧みさがありましたね」