巨人軍と落合博満の3年間BACK NUMBER

巨人まさかの25失点大敗、ナベツネ激怒の事件「誠に遺憾である」…落合博満40歳が“最悪の空気”だったジャイアンツをわずか一振りで変えた夜 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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posted2023/10/22 11:04

巨人まさかの25失点大敗、ナベツネ激怒の事件「誠に遺憾である」…落合博満40歳が“最悪の空気”だったジャイアンツをわずか一振りで変えた夜<Number Web> photograph by KYODO

1994年1月31日、翌日からのキャンプに備え、巨人ナインとともに宮崎入りした落合博満40歳

 中日時代はオープン戦の結果がどうであれ周囲が騒ぐことはなかったが、絶えず注目を浴びる巨人の環境では一挙手一投足を監視されているようでもあった。そして、原も左アキレス腱の部分断裂からの復帰が見えず、開幕二軍スタートが決定。これで開幕ダッシュに失敗したら、そのままチームが崩壊しかねない。1994年開幕前の長嶋巨人は、そんな危ういバランスで成立していた。

 だからこそ、落合にとっても、巨人にとっても、この開幕戦だけは絶対落とせない――。そんな状況で迎えた1994年4月9日の広島とのオープニングゲーム。40歳の第60代四番打者は、いきなり超満員の観衆の度肝を抜く。2回裏の第二打席で東京ドームの左翼席中段に、挨拶代わりのホームランを叩き込んでみせるのである。

 いつもより早足でダイヤモンドを一周すると、ホームベース後方でファイアーガールから手渡されたミニジャビット人形をグラウンドに落としたが、すぐ拾い上げ、落合博満は少し照れ笑いをしたようにも見えた。興奮と狂熱の渦が球場全体を支配する。

 一塁側ベンチ前では、満面の笑みで殊勲の背番号60を迎える、長嶋監督の姿があった。

<続く>

#13に続く
「ん? 落合さんは何かが違う…」落合博満40歳の世話係になった“甲子園アイドル”の告白「お前さぁ、ビビるんじゃないよ」落合はこうして巨人を変えた

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