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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「GUの店長」だった元慶大野球部31歳は、どうトライアウトリーグを“健全経営”しようとしているか「継続する上では必要な赤字かなと」
posted2023/09/27 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
日本初の本格的なトライアウトリーグである「ジャパンウィンターリーグ」の事業を構想した鷲崎一誠氏(31)は、慶応義塾大学野球部出身で、カリフォルニアのウィンターリーグに参加した経歴がある。その後社会人としてファーストリテイリングに入社したが、そこからどのようにして同リーグの立ち上げにかかわっていったのか。
「もともと僕は経営者になるという夢があったので、その軸で就活をしていました。だから30歳で辞めて起業をする、とは最初から決めていたんです」
鷲崎氏はこのように話すとともに、会社員としての日々を回想する。
仕事そのものはめちゃめちゃ面白かったですね
「ファストリは大学新卒は、全員現場に派遣されます。GUの現場で販売を担当して、店長になって、次は本部の商品計画部という部署で働きました。
仕事そのものはめちゃめちゃ面白かったですね。店舗時代は人を巻き込むというか、リーダーシップやマネジメントを学んで仕事をする上での基礎的な力がつけられたと思います。つらいこともあったけど、それを乗り越える達成感もありました。本部ではビジネスの生命線である販売計画を立てていったのですが、経営者に近いところで実践ができたのは本当に面白かったですね」
30歳が近づいて、自分で決めた「独立、起業」の時期が迫ってきた。鷲崎氏はファストリで将来を嘱望されていたが……。
「何事にでも、のめり込むタイプなので、部署でも中心的な存在だったのですが、このままやり続けると多分もうやめられなくなるという自覚はありました。僕の性格からしてもここで辞めるのが多分一番だなと。そもそも本部に来た時点で僕はもう、いずれは独立します、とは言っていたのですが」
実はその時点で鷲崎氏は大学の同級生で証券会社に勤務する友人を相棒にして、会社を立ち上げていた。IT関連のコンサルや、人材開発などをビジネスモデルとして考えていたのだ。
「毎週金曜日に新規事業のミーティングをしていたんですが、その場でジャパンウィンターリーグの話をしたんです。そしたら相棒が『俺はスポーツはやらない、ビジネスにならないから』と言ったんです。僕は『儲からないことを儲かるようにするのが起業家じゃないか』と反論しました。僕自身は市場規模とか課題を分かったうえで言ったのですが。でも、彼とは今も交流があります」
参加費とスポンサーの二軸があれば、回るのでは
こうした経緯を経て2022年11月のリーグ開始を目指して、沖縄県那覇市に「株式会社ジャパンリーグ」を設立した。