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「GUの店長」だった元慶大野球部31歳は、どうトライアウトリーグを“健全経営”しようとしているか「継続する上では必要な赤字かなと」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/09/27 11:02

「GUの店長」だった元慶大野球部31歳は、どうトライアウトリーグを“健全経営”しようとしているか「継続する上では必要な赤字かなと」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

「ジャパンウィンターリーグ」2022年の様子

 11月25日から約1カ月間、日本、世界から集まった野球選手たちがリーグ戦を戦う。このリーグ戦はNPBやMLB、独立リーグなどへの移籍につながるトライアウトリーグでもある。

 日本野球のトライアウトと言えばNPBの「12球団合同トライアウト」のように、1~2日間だけ球場に集まった選手たちが、スカウトの前で、打者は数打席、投手も数人と対戦するだけだ。1カ月もの長期にわたって20数試合も行う本格的な「トライアウトリーグ」は、北米大陸では盛んにおこなわれているが、日本では初めてである。

「不安はありましたけど、そもそもカリフォルニアでのリーグは永年行われてビジネス的に成り立っていましたし、日本でも成り立つんじゃないかと思いました。日本式にアレンジした事業計画を立てて分析をした結果、選手の参加費とスポンサーという二軸があれば、回るんじゃないかと思いました」

大野倫、斉藤和巳らの野球人の協力を仰ぎながら

 筆者はNPB球団の元経営者から鷲崎氏を紹介されたが、この時点で鷲崎氏は日本のプロアマの野球関係者と意見交換をして、広いネットワークを構築していた。

 カリフォルニアリーグ時代のチームメイトだったトレーナーの山田京介氏と、沖縄野球界に精通する知花真斗氏を副代表にし、甲子園の準優勝投手で元巨人、ダイエーの大野倫氏をGMとし、元ソフトバンク投手の斉藤和巳氏(現ソフトバンク投手コーチ)をアンバサダーにするなど着々と組織ができあがった。さらに慶応義塾大学のネットワークで、元フジテレビアナウンサーの田中大貴氏、トラックマン野球部門の責任者である星川太輔氏も参画している。

 最大のネックは、沖縄県内の球場を使用することだった。主要な球場は毎年2月のNPBの春季キャンプのために前年秋から芝を養生し、土を入れ替えるなど整備を進めている。11月に試合をするなど考えられなかったが、鷲崎氏らは球場メンテナンスの専門家の見解も添えて球団を説得し、了承を得た。

 全く同じ時期に、沖縄の独立リーグ球団、琉球ブルーオーシャンズが「アジアウィンターリーグ」を企画、しかしこの球団が経営難となり活動停止になる。「沖縄のウィンターリーグがとん挫した」というニュースが広まり、鷲崎氏の事業も少なからぬ影響をこうむった。

 こうした「逆風」もあって、1年目は120人の選手を集める予定が、66人にとどまった。しかしスポンサーの力強い支援もあって、大きな赤字にはならなかった。

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