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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
慶応大で1試合も出られず「野球を辞めよう」→ファストリ入社も「30歳で辞める」…“日本初トライアウトリーグ”立ち上げ31歳の驚き人生
posted2023/09/27 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
7月31日、東京、お台場のフジテレビの会議室で「ジャパンウィンターリーグ」の2023年度の事業計画を発表する記者会見が行われた。
ジャパンウィンターリーグについては当コラムでも紹介したが、日本初の本格的なトライアウトリーグであり、11月末に沖縄県に高校、大学、社会人、独立リーグなどの選手が集結してチームを結成、1カ月にわたってリーグ戦を繰り広げるというものだ。
選手は10数万円から30数万円の「参加費」を支払って参加する。試合の模様や選手成績などは動画、データなどでMLB、NPB、独立リーグなどに配信され本格的なリモートスカウティングが実施された。
昨年は66人が参加したが、今年はNPB、社会人、独立リーグ、さらにはCPBL(台湾プロ野球)から派遣された選手がプレーする「JAPAN WINTER LEAGUE ADVANCE 2023」と、高校、大学などの選手がプレーする「JAPAN WINTER LEAGUE TRYOUT 2023」の2つのリーグ、合計200人の選手の参加を見込んでいる。
日本・世界の球界が参加できるリーグを立ち上げた31歳
記者会見は『プロ野球ニュース』でおなじみの田中大貴アナウンサーが司会進行。東京と沖縄県を結んだ二元中継で行われたが、沖縄からは玉城デニー沖縄県知事もメッセージを寄せた。
昨年にも増して大きな注目を集めそうだが――この事業を構想し、推進しているのは31歳、慶応義塾大野球部出身の鷲崎一誠氏である。
「小学2年から野球を始めて、中学は最初に軟式、途中から硬式のフレッシュリーグで野球をして、高校は佐賀西高校に進みました。福岡県に住んでいましたが、通学できる距離でしたので越境入学しました。佐賀西は進学校ですが、野球は結構強くて、僕が入学する前は夏の佐賀大会で佐賀商に2年連続で負けて甲子園に行けませんでした。
中学では投手でしたが、高校は三塁手で、3年生の夏は初戦で負けました。高校で野球をやめるつもりだったんですが、春の早慶戦で、僕が中学だったとき佐賀西のエースだった先輩が慶応で、斎藤佑樹投手と投げ合っているのを見て“ここでやりたい”と思って慶応義塾大を受けて、一浪して合格しました。推薦も特別枠もないですから、勉強はした方ですね」
慶応で1試合も出られなかった中での“転機”
一般入試で慶応大に入学した鷲崎氏だったが、簡単に試合に絡めるほど大学野球の世界は甘くはなかった。