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ドイツ撃破後、遠藤航が語った「個で勝りながらチームとして戦う」…日本代表「個か組織か」の時代はもう終わった
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2023/09/17 17:28
ドイツ戦後、遠藤航が語った日本の「距離感の良さ」の要因、日本代表の未来図。その言葉を紐解く――。
チームとしてのオプションが増えてきている
「相手がどうプレッシャーかけてくるのかをうまく見ていくのと、プレッシャーかけてきたタイミングで動き出すとか、そこら辺は常に意識はしてた。味方との距離感は良かったと思う。今までやってきた、サイドバックが中に入ったり外にポジションをとったりとか、アンカー+2人だったり、2ボランチになったりとか。そうしたプレーの使い分けはうまくやりながらやれたと思う。ちょっとずつチームとしてのオプションが増えてきてるっていうような感覚ですね」(遠藤)
今夏世界有数のビッグクラブであるイングランド・プレミアリーグのリバプールへ移籍した遠藤。チームメイトにも、対戦相手にもワールドクラスの選手がたくさんいる。そうした中で居場所を見つけ、自分の良さを発揮していくために、自身のもつ能力をさらにチューニングし、バージョンアップを目指していく。これまで以上にひとつひとつのプレーへのこだわりを感じさせられる。
デュエルはかなり意識していた
遠藤といえば、その競り合いの強さに関しては誰もが認めるところだが、ドイツ戦でも相手の激しいぶつかりにもつぶされず、逆に跳ね返してボールを収めたり、奪い取ったりするシーンがいくつもあった。デュエルの強さとは守備時だけで測られるものではない。相手のマークをかいくぐり、ボールを味方に展開していけるからこそ、遠藤はブンデスリーガでも高く評価されていたのだ。
ドイツ戦後にはそのあたりの自身のパフォーマンスについて次のように答えていた。
「そこはかなり意識した。リバプールに移籍してからすごく自分に求められてる部分ではある。ポジションはいつもよりは高めの設定だったんですけど、でもあそこの感覚というか、相手を見ながら(パスが)入ってきたところで潰すとか、ボールがこぼれてきたところをしっかり捉えるようにとか、味方が1人はがされたときにすぐ自分がサポートできるようなポジショニングっていうのは常に意識はしてました。その《人に行く》ということに対しては、かなり個人的なパフォーマンスも良かったと思うし、そこは続けていければなと思います」
冨安への指摘に見える充実ぶり
キャプテンとしての立ち振る舞いも堂々としたものがある。前所属クラブのシュツットガルトでもキャプテンとしてチームを引っ張っていたが、その時のキャプテンとしての振る舞いと日本代表でのそれとは、少なからず違いがあるように思える。シュツットガルトでは自分の真摯に取り組む姿勢とやるべきプレーに集中することで周りの選手にポジティブな影響をもたらし、チームを引っ張るというキャプテン像を見せていたが、代表ではよりアクティブにコミュニケーションを取り、時に大きな声でプレーの修正を促すような姿も見られるのだ。