ラグビーPRESSBACK NUMBER
「山中亮平なぜ落選?」「W杯では戦い方をガラッと変える」識者が語るラグビー日本代表メンバー“5つの焦点”…W杯のキーマンは誰?
posted2023/08/18 11:05
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
8月15日、フランスで開催されるラグビーワールドカップに出場する日本代表メンバー30名が発表された。同21日に迫った最終期限までに3名を加えた総勢33名が、約2カ月にわたって繰り広げられる祭典に臨む。元日本代表で、2007年大会ではCTBとして3試合に出場した大西将太郎氏は今回のメンバー選考をどう見ているだろうか。大会をプレビューする。
山中が落選、レメキ選出の意図は?
(1)FB山中亮平の選外
2019年W杯でも貢献した主軸のFB山中亮平の選外は、悪い意味での“サプライズ”と捉えた方が多かっただろう。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)にとっても難しい決断だったと思う。
会見でも語っていたように、ジョセフHCは「複数のポジションをこなせるか」をセレクションポリシーに挙げてきた。確かにここ数年の山中はFBでのプレーに終始してきたが、もともとSOやCTBの経験があるユーティリティ性の高いプレーヤー。他のポジションでの起用を試す機会を設けても良かった。さらに直近のテストマッチに名を連ねていたにもかかわらず、ベンチにも入らなかった日本代表候補のWTBレメキ ロマノ ラヴァや、20分程度の出場に留まったSO/FB小倉順平が選出された。この事実だけを見ると、選考の不透明さは際立っていた。
だが、ジョセフHCをはじめとする首脳陣の中には確固たるセレクションポリシーがあるはずだ。
あくまで個人の見解だが、“FB兼任”にはSO小倉に加えて、テストマッチでトライを挙げたWTBセミシ・マシレワも計算しているだろう。さらに力強さも兼ね備える19年組のWTBレメキを選んだ。プール最終戦、特に決勝トーナメント進出を懸けた状況で戦う可能性があるアルゼンチン戦はFWの消耗戦になる。BKならどこでも任せられるレメキがいれば“ベンチにFWを6人置く”という選択肢を持つことが可能になった。セレクションポリシーはすべてがオープンにされるものではないので見えにくいかもしれないが、山中一人の問題ではなく、総合的な判断だったと思う。
世界を見渡しても、主軸選手の落選はあった。驚かされたのはオーストラリア代表。エディー・ジョーンズHCがSOクウェイド・クーパーやFLマイケル・フーパーといったベテランのスター選手を外し、若手に舵を切った。キャップ数(テストマッチ出場数)にこだわってきた指揮官が、W杯の位置付けをどう考えているか、どう臨むかを明確に示したリストだった。それは日本も同様だ。
ジョセフHCの意図は当然本人やチームには共有されているだろうし、だからこそ、山中はすぐにポジティブな思いを発信できたと思う。個人的にはBK最年長である山中の選外は寂しいが、決まった以上は憶測でものを語るのではなく、日本がどんなラグビーをするかにフォーカスしたい。