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「山中亮平なぜ落選?」「W杯では戦い方をガラッと変える」識者が語るラグビー日本代表メンバー“5つの焦点”…W杯のキーマンは誰?
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2023/08/18 11:05
今回のW杯を「集大成」と位置付けていたFB山中亮平(35歳)。メンバーから漏れたが、自身のSNSで2027年W杯への意欲を示している
(5)W杯初選出は17名…期待する新顔
W杯は4年に一回。どの国にも、そこにピークを合わせられる選手というのが必ず存在する。それが今回で言うと、CTB長田智希やFL福井翔大だと思う。特に長田はリーグワンで新人賞を獲得した勢いそのまま、テストマッチで評価を急上昇させた。何より今、体がキレているだろうし、すべてのプレーから自信を感じる。
私も28歳の時に悲願だったW杯(2007年)を経験した。振り返っても当時が一番状態が良かった。それをしっかり見極めてくれたジョン・カーワンには今もすごく感謝している。
コンディションのことは、選手自身が一番わかっている。8強入りを果たした2019年大会はそういうピーキングがうまくいった選手がたくさんいた。そのことがチーム力を飛躍的に上げたことは明らかだ。ジョセフHCにも成功体験はあるため、今大会もノっている選手を積極的に起用するだろう。W杯特有の楽しみでもある。
“勝てない時代”を知る堀江とリーチ
ーー最後に、プール戦の展望も聞いた。
日本にフォーカスすれば、2戦目のイングランド戦は大きな山場になる。キックを多用し、特に相手9番のハイパントキックは日本にとって厄介だ。いかにアンダープレッシャー(ボールをキャッチしようとする相手にプレッシャーをかけて再獲得を狙う動き)の中で相手のキックを冷静に処理できるか。前回大会は福岡堅樹の安定感が目を見張ったが、今大会はシオサイア・フィフィタ、ジョネ・ナイカブラ、マシレワ、松島あたりの質が問われる。
そのためには、まず初戦チリ戦でしっかり自信を掴むことが重要だろう。侮れない相手ではあるが、初戦という緊張感の中でしっかりプレーできればいいマインドでイングランド戦を迎えられる。
その意味では10番のプレースキックにも注目してほしい。経験豊富な松田力也か、売り出し中の李承信か、どちらが先発にせよ、大会最初のキックは「W杯モードに入る」ための重要な1本になる。チリ戦の結果が以降の「10番」着用率に大きく関わってくるはずだ。2人はどちらもジェイミーHCが求めたタイミングで好プレーを披露することができなかった。SOを固定できなかったことは指揮官にとっては予定外だったかもしれないが、大会の中で柔軟に戦い方を変えていけると逆にポジティブにとらえたい。周りを生かせる松田、自ら局面を変えられる李。相手に応じた使い分けにも注目したい。
最後に。テストマッチであまり芳しい結果を残せなかったが、ここで大事になるのがリーチ マイケルや堀江翔太といった“勝てない時代”を経験している選手の存在だと思う。勝つために何が必要か。それを知る彼らの価値が問われているような気がしている。日本ラグビーが積み重ねてきたレガシーが試される大会になる。
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