ラピースは2019年大会での活躍が記憶に新しいが、その後はキャプテンを託されるなどジョセフHCから別格の信頼を与えられてきた稀有な一人。実戦復帰の場でもあったフィジー戦で開始早々に退場となったときは動揺させられたが、本人はあっけらかんとしていたと聞く。言葉にも力があり、いかなる状況でもぶれない精神力はチームにとって大きい存在なのだろう。

フィジー戦でレッドカードを提示されたピーター・ラブスカフニ（34歳）。すでに3試合出場停止が下っているが、処分軽減となるかが選出の焦点となる　©︎Kiichi Matsumoto

　ただ、今季リーグワンは怪我の影響で出場機会が少なかった。その意味では実戦不足は懸念材料。その辺が考慮するとすれば、ユーティリティ性が高い若手の下川甲嗣にもチャンスはある。フランスリーグ移籍が決まっているNo.8テビタ・タタフは、あの圧倒的な突破力がW杯で見られると期待していたが、直前の合宿で外れている様子を見ると難しい状況だと推測できる。いずれにしても、この3枠の使い方にW杯の位置付けが表れてくるはずだ。

キャプテン姫野に求めたいこと

（4）キャプテン姫野和樹の真価

　これまでキャプテンを務めてきたHO坂手淳史に代わり、No.8姫野和樹が選ばれた。個人的には坂手のリーダーシップは申し分ないと思うが、堀江翔太とのポジション争いも絡んでいるように思う。結果的に、「坂手→堀江」のワイルドナイツのスタイルが定着しそうだが、ジョセフHCにはベテラン堀江をスタメンで起用するイメージを持っていたのかもしれない。それに姫野は昨年こそ負傷続きだったが、以前からリーダーシップを高く評価されていた。W杯を前に満を持しての任命となった。

　だが、キャプテンになったことでこれまでの良さが影を潜めてしまうのではないかという不安もある。

　2019年大会は果敢な姿勢がチームに勢いをもたらした。だがキャプテンとなれば役割は変わる。ことW杯においてはその存在はとても重要。チームの雰囲気作りだけでなく、ピッチではレフリーと唯一意見交換できる存在として英語でコミュニケーションをとらなくてはならない。すべての言動が日本の結果を左右する。

　さらに代表キャプテンになってからまだ日が浅いだけでなく、所属先のトヨタヴェルブリッツでも優勝に導いた経験がない。帝京大の先輩でもあるバイスキャプテンのSH流大のサポートも重要になるだろう。

キャプテンとしてW杯に臨む姫野和樹（29歳）　©︎Kiichi Matsumoto

　姫野自身が「自分の良さを出せるマインドセット」になることができれば、チームの状態は上向く。ジョセフHCが求めることを言葉にできる力はある。あとはグラウンドの上でいかに影響を与えられるか。背中で引っ張るキャプテンになってほしい。

　また、これで肩の荷が降りたリーチ マイケルの爆発も楽しみになった。

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