ラグビーPRESSBACK NUMBER
「山中亮平なぜ落選?」「W杯では戦い方をガラッと変える」識者が語るラグビー日本代表メンバー“5つの焦点”…W杯のキーマンは誰?
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2023/08/18 11:05
今回のW杯を「集大成」と位置付けていたFB山中亮平(35歳)。メンバーから漏れたが、自身のSNSで2027年W杯への意欲を示している
(2)W杯のキーマンは松島幸太朗
山中の選外を受けて、FBは松島幸太朗がファーストチョイスになった。私は松島を今大会でもっとも重要なキーマンに挙げている。2020年から約2年間、フランス・トップ14の「クレルモン」でプレーしたことは、今回のW杯を見据えてのこと。世界トップレベルが揃うリーグで経験を積み、得点力やスピード、フィジカルはさらに伸びた。同時にフランス国内からも高い注目を集めており、日本の顔としてW杯に臨むことになる。
19年大会はWTBでフィニッシャーとしての活躍が印象深いが、この4年間でキックの質が向上したと感じている。オールブラックスXV戦では風の影響もあり飛びすぎたキックがあったほど飛距離は伸び、正確性が増した。
山中にも“左足のキック”という稀有な特徴があったが、ジョセフHCはよりランを持ち味とする松島を選んだ。つまり、W杯ではよりボールを動かすラグビーを志向する意思表示とも受け取れる。おそらく日本代表は、W杯ではテストマッチからガラッと変えたラグビーを展開するだろう。
7〜8月の5連戦は肉体的に厳しい状況だった上、気温・湿度の高い環境下、退場者を出すハプニングもあり思うような試合展開ができなかった。日本代表のテストマッチで落として良い試合などは一切ないが、「結果」に加えて「選考」という要素があったことで試合をさらに難しくした。
カラカラな気候のフランスでは体のキレも上がってくる。FWとBKが連動し、思い切ってボールを動かすエキサイティングなラグビーが期待できる。そして、策士であるトニー・ブラウン(アシスタントコーチ)による「考え抜かれたスペシャルなサインプレー」が“ここぞ”という勝負の場面で使われる。その中に最後尾の松島が絡むプランは必ず入っているはずだ。
残り3枠「W杯優勝を目指すなら…」
(3)残り「3枠」の最終選考
コンディション不良などにより、15日では30名のみの発表となった。残された枠は3つ。おそらく負傷の具合が気がかりなワーナー・ディアンズ、アマト・ファカタヴァ、ヘル ウヴェのロック勢、そしてフィジー戦でレッドカードが提示されたピーター・ラブスカフニの処分待ちがあってのことだろう。
ラピース(ラブスカフニ)には3試合出場停止が下っているが、おそらく処分が軽減されるため2戦目のイングランド戦に復帰できる可能性がある。日本が決勝トーナメントでの戦いを見据え、本気で「優勝」を目指していれば当然リストに加わってくる。