熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
磐田で激怒しまくりドゥンガの日本愛「ゴン、ナナミ、フクニシ…“通常と異なる刺激”も」「ミトマにクボ、カマダ…“あのボランチ”も注目だ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakao Yamada
posted2023/07/16 11:02
磐田時代のドゥンガ
「試合の状況に応じて、どのようにプレーすべきかを伝えた。選手の中で、私の話に特に興味を示したのがカツヤ(勝矢寿延)だった。彼に事細かに説明をしたら、彼が他の選手に伝達してくれた。こうして、私の考えが徐々にチームに浸透していった」
フクニシは私の言うことを素直に吸収してくれた
――当時、福西選手は高校を出て磐田に入り、FWからボランチへコンバートされたばかり。彼は「チームに世界一のお手本がいたのは幸運だった。ドゥンガから教えを受けていなければ、その後の自分はなかった」と語っています。
「彼は体格が良く、基本技術もしっかりしていた。将来性があると見込んだので、ボランチの基礎を叩き込んだ。彼が私の言うことを素直に吸収してくれたから、ジュビロで絶対的なレギュラーとなり、日本代表にも選ばれるほどの選手になった」
――時として、あなたの指導はかなり厳しかったようですね。中山選手が「試合中、山西(尊裕)選手の腹にパンチを食らわせたことがあった」と漏らしています。
「彼に左サイドを攻め上がるよう何度も指示したのに動こうとしなかったからだ。自分の背後のスペースを敵に使われるのが怖かったのだろうが、他の選手がカバーすれば済むことだ。仲間を信じなければならない。
オクにも、同じことをした。まだ若いのに、試合中、全く走らない。『疲れました』と言うんだ。そこで、“通常とは少し異なる刺激”を与えた。効果はてきめんで、その後は懸命に走っていた(笑)」
――当時の磐田の選手たちは、「普段はとてもやさしい人。でも、試合中は別人になり、とても怖かった」と語っています。
「私は『怒りん坊』じゃない。でも、練習は戦いで、試合は戦争なんだ。プロは勝たなければ意味がないから、勝利のためにはチームメイトに厳しく要求する」
ドゥンガが見る日本人の長所と短所とは
――日本人選手の良いところは?
「敏捷で、運動量が多く、技術レベルも高い。監督の指示に忠実で、与えられた職務に全力で取り組む」
――その一方、短所や課題は?
「ミスをすると、それを取り戻そうと思うのか、プレーのスピードを上げてまたミスをする選手が多い。そういうときは、逆にプレーのスピードを落とし、簡単なパスをつないでリズムを取り戻さなければならない。
また、難しいプレー、たとえばロングパスの練習に長い時間を割く選手が多かった。試合で使うパスの大半は、近距離からだ。使用頻度が高いプレーを重点的に練習するべきだ。さらに、勝っている試合で終盤に追いつかれることが多い。それは、集中力が途切れるからだ。試合中のコミュニケーションも足りない。選手どうしで互いに指示を出し合ってプレーしなければならない」
――難しいプレーをしたがるのは、見栄えがするからでしょうか?