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「細川成也と大竹耕太郎が中日・阪神移籍で覚醒」現役ドラフトがNPB版リスキリングに?「巨人オコエも二軍落ちしたけど…」
posted2023/06/13 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
昨年オフに行われた「第1回現役ドラフト」は、シーズン半ばの現時点でも予想以上の成果が上がっていると言ってよいだろう。特にセ・リーグで目覚ましい。
現役ドラフトは出場機会が少ない若手、中堅の有望選手の移籍による活性化を目指した制度だ。各球団が2名以上の指名対象選手の名簿を提出。各球団は指名を希望する選手を投票し、最も多くの票を獲得した球団が1番目の指名権を獲得(同数の場合はこの年のドラフトのウェーバー順)、これを繰り返して12球団が指名選手を確定する。
ロッテ大下が大竹から移籍後初ホームラン
両リーグ各球団が獲得した選手の昨年終了時と今年の成績(6月11日終了時点)を比較しよう。
〈パ・リーグ〉
渡邉大樹 26歳/外野手 ヤクルト→オリックス
2022(ヤ)49試16打2安0本2点2盗 率.125
2023(オ)出場なし
古川侑利 27歳/投手 日本ハム→ソフトバンク
2022(日)34試0勝1敗0S 3H 35.1回 率4.08
2023(SB)8試0勝0敗0S 0H 9回 率5.00
陽川尚将 31歳/内野手 阪神→西武
2022(神)45試68打20安1本6点0盗 率.294
2023(西)7試19打3安1本1点0盗 率.158
正隨優弥 27歳/外野手 広島→楽天
2022(広)出場なし
2023(楽)1試1打0安0本0点0盗 率.000
大下誠一郎 25歳/内野手 オリックス→ロッテ
2022(オ)5試8打2安0本0点0盗 率.250
2023(ロ)15試14打3安1本2点0盗 率.214
松岡洸希 22歳/投手 西武→日本ハム
2022(西)出場なし
2023(日)出場なし
パ・リーグは全体的にまだこれからというところだ。
オリックスからロッテに移籍した大下は、オリ時代は「野次将軍」と言われた人気者だが、6月3日の阪神戦で移籍初本塁打。相手はこれも現役ドラフトで移籍した大竹耕太郎だった。
大竹、細川、オコエ…セの有効活用ぶりがすごい
〈セ・リーグ〉
成田翔 25歳/投手 ロッテ→ヤクルト
2022(ロ)出場なし
2023(ヤ)3試0勝0敗0S 0H 3.1回 率5.40
笠原祥太郎 28歳/投手 中日→DeNA
2022(中)4試1勝2敗0S 0H 17回 率5.29
2023(De)1試0勝1敗0S 0H 3回 率9.00
大竹耕太郎 27歳/投手 ソフトバンク→阪神
2022(SB)2試0勝2敗0S 0H 7回 率6.43
2023(神)9試6勝1敗0S 0H 58回 率1.24
オコエ瑠偉 25歳/外野手 楽天→巨人
2022(楽)6試25打5安0本0点1盗 率.200
2023(巨)27試95打24安2本6点0盗 率.253
戸根千明 30歳/投手 巨人→広島
2022(巨)9試0勝0敗0S 0H 14.1回 率5.02
2023(広)17試1勝0敗0S 4H 14.2回 率3.68
細川成也 24歳/外野手 DeNA→中日
2022(De)18試19打1安1本1点0盗 率.053
2023(中)54試197打65安6本32点0盗 率.330
セ・リーグでの実績が目覚ましい。
阪神の大竹はソフトバンクでは、育成上がりながらローテを担うなど活躍した時期もあった。しかし2020年以降、一軍登板は計7試合にとどまっていた。阪神では4月8日に初登板してから6連勝、6月10日の日本ハム戦で黒星がついたが防御率1.24はリーグ1位、勝ち星も2位につけている。大竹の加入が阪神首位快走の原動力になったといえる。
中日の細川は、DeNA時代から将来の中軸候補と評されたものの、伸び悩んでいた。しかし中日加入後、4月1日の開幕2戦目の巨人戦に代打で出場して田中豊樹から右前打を打ったのを皮切りに、安打を量産し5月以降は3番に定着。長年にわたって貧打に苦しんできた中日では救世主的な存在になっている。