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「打率.438!」鈍足の天才DeNA宮﨑敏郎34歳と「4割打者の激レア度」 近藤健介は規定未満.413…バースやイチロー、張本勲は?
posted2023/05/22 17:27
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
開幕40試合前後となった第8週の時点で、DeNAの宮﨑敏郎(34)が打率4割をキープしている。これは注目すべき数字だ。現在の成績はこうなっている。
宮﨑敏郎(De)112打49安 率.438
過去5年の第8週終了時点での両リーグ打率トップを見ると、以下のようになる。
〈2018年〉
柳田悠岐(ソ)156打60安 率.385
坂口智隆(ヤ)132打47安 率.356
〈2019年〉
鈴木誠也(広)136打46安 率.338
荻野貴司(ロ)126打42安 率.333
〈2020年〉
柳田悠岐(ソ)151打57安 率.377
佐野恵太(De)166打59安 率.355
〈2021年〉
吉田正尚(オ)155打55安 率.355
菊池涼介(広)161打55安 率.342
〈2022年〉
松本剛(日)122打46安 率.377
吉川尚輝(巨)129打44安 率.341
2017年の近藤健介以来となる「4割台」キープ
過去5年では2018年、ソフトバンク柳田の.385が最高。40試合前後を消化しての4割は非常にレアな記録だ。実は2017年に当時日本ハムの近藤健介が8週目時点でこんな成績を残している。
近藤健介(日)115打48安 率.417
宮﨑の打率4割は、それ以来の記録となる。NPBでは過去に、規定打席に到達した最終成績として4割をマークした打者はいない。
〈NPBシーズン打撃5傑〉
バース(阪神)1986年 453打176安 率.389
イチロー(オリックス)2000年 395打153安 率.387
イチロー(オリックス)1994年 546打210安 率.385
張本勲(東映)1970年 459打176安 率.3834
大下弘(東急)1951年 321打123安 率.3831
錚々たる顔ぶれが並ぶが、この顔ぶれをもってしてもシーズン4割はかなわなかった。規定打席未満でみても、最終的に4割を記録した打者は非常に少ない。
〈規定打席未満での4割打者の打席数が多い5傑〉
近藤健介(日本ハム)2017年 231打席167打69安 率.413
宮川孝雄(広島)1972年 62打席52打21安 率.404
鶴岡一成(横浜)2004年 60打席55打22安 率.400
上本博紀(阪神)2018年 53打席45打19安 率.422
小川年安(タイガース)1936年春夏 49打席44打21安 率.477
8月下旬まで打率4割台をキープしたのは誰?
2017年の近藤健介は、開幕から好調で4割をキープしたが、椎間板ヘルニアを発症。チーム53試合目の6月6日の交流戦の広島戦を最後に欠場。この時点では150打数61安打の.407。手術を受けて9月28日の楽天戦で復帰し、以後も安打を量産し、最終的に打率.413、NPB史上で唯一の「100打席以上での4割打者」になった。