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まさかの5失点大敗…名門・鹿島で何が起きている? 岩政監督「野心はない」発言の誤解…番記者が見たウラ側「昌子は嫌われ役、植田は怒り」
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内田知宏(スポーツ報知)Tomohiro Uchida
photograph byMasahi Hara
posted2023/04/22 11:02
鹿島復権を誓うFW鈴木優磨は低迷するチームを救うことはできるか。次戦は好調・新潟の本拠地に乗り込む
「攻撃面の崩し、どこにスペースを作る、使う。そこはまだまだ改善の余地がある。監督は練習で言葉には出している。指導の中では出ているんですが、まだ落とし込みが、(選手に)習慣化されていない。本当にやりたいサッカー、落とし込みたいサッカーをスタッフも含めてやっていく必要があるかなと思います」
意図を伝える、人を動かす。それがコーチを含めたスタッフの課題になっているという。真意が伝わっていないと思われる点は他にもある。指示と自己判断の割合だ。
「指示を守ったプレーをやっていれば試合に出られる。指示通りではなく、自分の判断でプレーしたら試合に出られなくなるかもしれない。それ(指示通りにプレーする)だけでは勝てないのは分かっているけど、それができない選手もいる」
そんな言葉が複数の選手から聞かれた。
岩政監督は選手の判断を尊重している。現役時代、リーグ3連覇(2007〜09年)を勝ち取ったチームは、選手の判断力で成り立っていた。監督に就任後、勝利後の記者会見で「選手たちが判断してくれた」とたたえる姿もある。
ただ、共通理解として伝わっていない。指示通りのプレーはいずれ対策され、行き詰まる。対応、対策の応酬がサッカーというもの。どんなサッカーを目指しても「伝える」はチーム作りの基幹。経験の浅い監督を据えたクラブも、スタッフの人選、補充、監督への助言などサポート態勢強化を検討する必要があるだろう。
「必ず改善すると思っている」
「選手たちはすごく良いものを持っていると思う。その中で、共通理解、チーム全体の戦術もそうですが、各グループでの戦術のところ、意思疎通ができていないと選手の能力は最大限発揮できないと思っている。選手の距離感だったり、サポートのタイミングだったり(がうまく行かず)、まだそれぞれがそれぞれでがんばっている(段階)。苦しんでいるところがある。意思疎通を図ってどのタイミングでスペースを作って、どう生かすのか。そこに関しては岩政監督と話しているところでもあるので、整理されてくると必ず改善すると思っている」(吉岡フットボールダイレクター)
強度の高い練習。高い競争意識。選手間派閥のない一体感。鹿島が20個のタイトルを積み重ねてきた最大の根拠が、選手の意識向上、クラブ運営の成熟で他クラブとの差にはならなくなった。長らく国内タイトルから遠ざかる理由に、こうした外的要素が影響していることも最後に付け加えたい。