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まさかの5失点大敗…名門・鹿島で何が起きている? 岩政監督「野心はない」発言の誤解…番記者が見たウラ側「昌子は嫌われ役、植田は怒り」
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内田知宏(スポーツ報知)Tomohiro Uchida
photograph byMasahi Hara
posted2023/04/22 11:02
鹿島復権を誓うFW鈴木優磨は低迷するチームを救うことはできるか。次戦は好調・新潟の本拠地に乗り込む
この声を受けて、クラブはザーゴ、レネ・ヴァイラーと特徴的な戦術を持った外国人指揮官を招へいした。しかし、ザーゴは守備戦術に問題があり、選手との関係も良くなかったことで相馬直樹(21年途中〜同年)にバトンが託された。ヴァイラーはフロント、選手との意思疎通ができない状態になった。いずれも成績不振で監督交代。結果を残してきたクラブの監督にはどの国でも高いノルマが課せられる。総じて結果を出すまでの猶予は短い。こうした厳しい視線がチームの力を押し上げることがある一方、完成形にたどり着けないこともよくある。鹿島は今のところ後者だ。
そんな風向きを変えるべく選ばれたのが岩政だった。プロの監督は未経験ながら、ヴァイラー監督時にはコーチの立場で、コロナ禍の影響でヴァイラーが入国できなかった昨季の序盤には代行監督としてチームをまとめ上げた。現役時代から研究熱心で、身体能力を発揮するだけではなく、深く考えてプレーするタイプだった。引退後は解説者、大学サッカーの指導者としてサッカーを学んだ。何よりも、多くの言葉を交わさずとも鹿島がどうあるべきか、どこを目指すかを知っていた。託す根拠はあった。「ツケ」を払い終えられる期待感もあった。
「時間がかかる」と理想は追わず
岩政は昨年8月、「監督として(日本代表監督などへのステップアップする)野心は持っていない。鹿島を立て直したい」と引き受けた。後方からのビルドアップに取り組んだが、「そういう文化がない。時間がかかる」として理想は追わず、現実を見る。結果を求められるクラブということは身をもって理解していた。
ロングボールを使い、セカンドボールに素早くチャージする。上田綺世のような決定力があるストライカーがいた時はチームは循環したが、今季はその不在が響いて失速した。相手は構えて守れば対処しやすく、もう一つ先で相手を崩す絵が必要になった。
チームを先進的に変化させながら、結果を残す。名将と言われる監督でも難しい作業を新米監督がチャレンジしている。すべてがうまくいかないのはクラブも折り込み済みだが、ここまで低迷することは想像していなかったようだ。歴史的大敗(1-5)を喫した神戸戦後、強化責任者の吉岡宗重フットボールダイレクターが報道陣の前に立った。「岩政続投」「サポート」を明確に打ち出した上で問題点を口にした。