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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ダルビッシュ有から届いた深夜のLINE「部屋、どこですか?」WBC村田善則コーチが振り返るアメリカ戦の舞台裏「あれ、投げるの?」の問いに…
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/21 11:01
チームを陰に日なたに支えたのは、最年長のダルビッシュだった
大会が始まる前に大谷翔平とダルビッシュにはメジャーのミーティングのやり方も確認した。「基本的には自分たちでキャッチャーと話をしてプランを立てている」という答えが返ってきていたので、その予備知識としても捕手には一通りのデータを伝えるためにミーティングを行っていた。
だがその話を聞きつけて興味を持ったのが、ダルビッシュだったのである。
日韓戦を前に「僕も参加していいですか?」
「たまたま開幕前に韓国のミーティングをやるときに、ダルビッシュが耳にして『韓国戦ですか?』と聞いてきた。彼が韓国戦に登板するのは決まっていたので『僕も参加していいですか』っていうところがスタートです。そうしたらダルビッシュも(サンディエゴ・パドレスの)キム・ハソン内野手とか(セントルイス・カージナルスのトミー・)エドマン内野手とかメジャーでプレーしている選手の数字を持っていて、韓国は韓国のリーグで(データ収集が日米とは)違うシステムなんですけど、そのデータも持っていたんですよ」
そのデータを突き合わせて意見を出し合う中で、もう一つ、ダルビッシュが興味を持ったのが村田コーチの分析方法だったのである。
村田コーチは2013年の第3回WBCでスコアラーとして代表チームをサポートして以来、その後の第4回大会、東京五輪等ではバッテリーコーチとして侍ジャパンのトップチームで常にバッテリーのデータ分析を担当してきていた。その経験から1つ、国際大会でのデータ分析のポイントとして考えているのが、あまり数字に引っ張られすぎないということだった。
ミーティングでダルビッシュがした質問
「僕はまずビデオで単純にスイングを見て、ピッチャーとの対戦を見て、こういうボールが使えそうだ、ここは苦手そうだ、ここは怖いなっていうのを自分の中で分析するんです。その後に資料やデータを見て照らし合わせていかないと。やっぱり資料だけ見ると、そこにどうしても引っ張られちゃうんですよ。映像を見て、自分の中であれこれ仮説を立てて。それが違うこともあるんですけど、一致するときはすごく自分の中で自信を持てる」
その話に興味を示したダルビッシュが、時間が合えば捕手のミーティングに参加するようになったのだった。