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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ダルビッシュ有から届いた深夜のLINE「部屋、どこですか?」WBC村田善則コーチが振り返るアメリカ戦の舞台裏「あれ、投げるの?」の問いに…
posted2023/04/21 11:01
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で14年ぶりに世界一を奪還した侍ジャパン。アメリカとの劇的な決勝戦にまつわる知られざるドラマを、バッテリーコーチを務めた村田善則(巨人・ブルペンコーチ)が語った。(全2回の#1/#2を読む)
アメリカ東部時間の3月20日……いや、時計の針はすでに午前0時を回り、正確には21日になってしばらく時間が経っていた。
ほんの2時間ほど前にWBCの準決勝に臨んだ日本代表は、逆転サヨナラ勝ちでメキシコを下し、決勝へと駒を進めたばかりである。ローンデポ・パークから宿舎の自室に戻った村田善則バッテリーコーチの身体には、まだその劇的な幕切れの熱が残っているような感じだった。
それでも休む間はない。
あと18時間余り後には悲願の世界一をかけたアメリカとの決勝戦が待っている。キャプテンのマイク・トラウト外野手を筆頭にスーパースター軍団と言われるアメリカ打線を、日本の投手陣がいかに抑えるか。世界一奪回のカギがそこにあることは、誰もが分かっていた。そのためにはアメリカ打線のデータを洗い直し、攻略ポイントを整理し、翌日の捕手陣とのミーティングで指示を出さなければならない。火照った身体を落ち着かせるためシャワーを浴びると村田コーチは、すぐにパソコンの前に座った。
そのとき携帯電話が震えた。
「部屋、どこですか?」
ダルビッシュ有からのラインだった。