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千賀滉大“1メートル以上落ちる”魔球はなぜ生まれた? 体調悪化→二軍落ちの10年前…「投げたらストン」お化けフォークの“発明秘話”
posted2023/04/21 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
「見てくれると思いますよ。もし、仲のいい人が見てくれないって言うなら、たたき起こします(笑)」
4月2日(現地時間)のメジャーデビュー戦を前に、ニューヨーク・メッツの千賀滉大が取材の中でそんな話をしたと報じられた。
福岡で記事を読んだ筆者は、千賀が“仲のいい人”と語った人物に、甲斐拓也が思い浮かんだ。ソフトバンク時代の名バッテリー。いや、育成同期入団・同学年の2人はその枠を越えた親友だ。実際に千賀が海外FA権行使を表明した際に甲斐は「もちろんホークスの一員としては千賀にいてもらわないといけないのは間違いない。だけど、友達として背中を押してあげたいです。友達として、夢に挑戦する姿も見てみたい」としみじみ語っていた。
“日本は深夜”のデビュー戦…甲斐のツンデレ行動
縁とは不思議なもので、千賀がメジャ−初登板する球場は、甲斐も出場したWBCの準決勝・決勝が行われたローンデポ・パーク(マイアミ)でもあった。
千賀のデビュー戦は日本時間の月曜日午前2時40分プレーボール。日本のプロ野球は開幕3連戦を終えたところで、月曜は休日だった。それに、移動日でもある。甲斐は「え、2時40分? あぁ……、大丈夫でしょ千賀なら」と困り顔に笑顔を交え、「(電話が)かかってこなかったら逆に問題ですよね(笑)。一度寝てしまえば、試合を見るために起きることはないかな~。結果を楽しみにします」とはぐらかした。だがその言葉とは裏腹に、しっかり未明に千賀の初勝利を祝うSNSを投稿していた。
話が少し逸れたが、千賀が報道陣へジョークを飛ばすのも珍しいと感じた。ソフトバンク時代もしっかり話すタイプではあったが、比較的マジメな返答が多かった印象だ。それだけでも、長年の夢だった舞台に立てるという高揚感がうかがえた。
米で話題沸騰…「千賀とお化け」
ユーモアといえば、千賀の象徴ともなっている「お化けフォーク」もそうだ。
千賀はメジャー移籍のタイミングでグラブのデザインを新しくした。ウェブと呼ばれる“網”の部分には、2016年頃から入れていた故郷の愛知県蒲郡市の地形の横に、大きなフォークを持った可愛らしいお化けの刺しゅうが加えられた。