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“元オカダのライバル”SANADAはプロレス界の「景色を変える」ことができるのか? 師・武藤敬司の“あの技”を解禁した男の覚悟
posted2023/04/07 17:12
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
昨年、サッカー日本代表は「新しい景色」をスローガンに戦っていた。カタールW杯の盛り上がりもあって、以降は様々な場所で「新しい景色」や、それに類する言葉を見聞きするようになっている。
もっとも、同様のフレーズは以前から様々な場面で使われている。
たとえば、ベンチャー企業やスタートアップ企業の代表の発言、アーティストのコンサートでのMC、そしてアスリートのインタビュー……。サッカーでも、日本代表以前にコンサドーレ札幌が「新しい景色を見に行こう」というキャッチコピーを用いていた。
用例としては、「現状打破」「より上を目指す」「規模を大きくする」のような意味合いのほか、「固定観念に囚われない」「開拓する」「ある境地に達する」などを意味するときもある。「景色」は字義通りそこに広がる光景そのものの場合もあれば、視点や価値観、あるいは「時代」を指し示していることもあるだろう。
プロレスにおける「新しい景色」とは?
プロレスにおける「新しい景色」というワードは、ノア(NOAH)の清宮海斗が発してきたイメージが強い。2018年に史上最年少の22歳でGHCヘビー級王座を獲得した清宮は、三沢光晴や小橋建太らがいない“今のノア”を業界ナンバーワンにする、という決意をその言葉に込めていた。
丸藤正道を相手に初防衛に成功した清宮は拳王を呼び出し、「新しい景色を作るにはあなたの力が必要」とノアの新時代をスタートさせた。2人はその後、何度もGHCヘビー級王座をかけて激突する関係になった。後楽園ホールで行われていた清宮vs.拳王のタイトルマッチは、やがて両国国技館や日本武道館に舞台を移し、「今のノアの新しい景色」を作り出してきた。
そんな「新しい景色」という言葉が、この春、新日本プロレスからも聞こえてきた。
発信源はJust 5 GuysのSANADAだ。「景色を変える」と口にする彼は、4月8日、両国でオカダ・カズチカが持つIWGP世界ヘビー級王座に挑戦する。
全日本プロレス出身のSANADAは、7年前の両国大会でロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)の新たなパレハとして登場すると、オカダvs.内藤哲也のIWGPヘビー級選手権に介入し内藤の王座奪取をアシスト。LIJ旋風を加速させた。
自身はその後、EVILとのタッグで『WORLD TAG LEAGUE』連覇(2017、2018年)を達成し、IWGPタッグ王座も2度獲得と、タッグ戦線でトップに立った。