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「どうもオカダに頼りすぎている」発言の真意とは? 新日本プロレス“春の本場所”は大荒れの展開に…内藤哲也“まさかの敗北”のウラ側
posted2023/04/07 06:00
text by
門馬忠雄Tadao Monma
photograph by
Getty Images
新日本プロレス“春の本場所”ニュー・ジャパン・カップ(NJC)は、大荒れの展開となった。
覇者が4月8日、東京・両国国技館でIWGP世界ヘビー級選手権王者オカダ・カズチカに挑戦する。その本命と見られていた「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」のリーダー内藤哲也が準々決勝で敗れる波乱が起きた。3月17日の東京・後楽園ホールで同門SANADAの変型DDTに屈したのだ。
内藤を蹴落としたSANADAは、タイチらのグループ「Just 4 Guys」入りを表明。即「Just 5 Guys」と改名して新軍団を結成。21日のNJC決勝戦ではデビッド・フィンレーを破り、新日本内に春の嵐を巻き起こしている。
一方、内藤の敗因は心身の疲れだろう。2月21日、ノアの東京ドーム大会で“プロレスリングマスター”武藤敬司引退試合の対戦相手に指名され、手抜きなしのファイトを展開。必殺のデスティーノを決め、28分58秒、片エビ固めで「プロレスに熱中させてくれた憧れの選手」を介錯し、早春リングの話題をさらった。この状況から見て、NJC優勝を有力視されたのは当然の成り行きだった。
今の新日本は「オカダに頼りすぎ」?
しかし、内藤の胸中は複雑だったのだろう。憧れの選手・武藤との試合に全神経を使い果たし、NJCではいまひとつ集中力を欠いていた。
同じ40歳のライバル鷹木信悟が1回戦で敗退、外国人選手でV候補とされたウィル・オスプレイも怪我で途中欠場するという波乱続き。動揺を隠せぬままSANADA戦に臨み、落とし穴にはまってしまった。
人気ユニットであるLIJの浮沈は、新日本の営業力を大きく左右する。そこで思い出すのが1月4日、新春恒例の東京ドーム大会を総評した木谷高明オーナーの言葉だ。オカダがジェイ・ホワイトを破り、IWGP世界ヘビー級王座を奪取したことを受け、専門誌にこう語った。
「どうもオカダに頼りすぎている!」
全軍の士気を鼓舞する意味合いの談話だろうが、筆者には内藤の奮起を促すコメントのように映ったのだ。
内藤の威信回復は容易ではないが、完全復活へのターニングポイントは夏だろう。G1クライマックスの優勝がカギとなる。怪我なく真夏の戦いに挑めば、オカダの対抗馬として絶好のチャンスが巡ってくる。