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「野球では悩まなくなった」ロッテ澤村拓一(34歳)アメリカ生活で何が変わった? 早朝“250kgスクワット”筋トレ中に聞いてみた
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byKYODO
posted2023/02/15 17:10
ロッテ吉井監督も期待を寄せる澤村拓一の帰還。今季はチームリーダーとしての役割も求められる
「たとえば『郷に入っては郷に従え』。これはアメリカにはない表現の言葉。だから訳し方が難しい。ちょっとニュアンスが変わるだけで、だいぶ意味合いが変わる言葉が日本語には多い。そういう意味では自分は本当に通訳に恵まれた。言葉がどう伝わるかを考えながら丁寧に訳してくれた。助かりました」
言葉ひとつで相手への伝わり方が変わる。自分が当たり前のように話していた言葉と向き合うことが増えた。だからこそ、通訳スタッフが工夫しながら、首脳陣と自分、チームメートと自分を繋ぐ姿に感謝したのだ。
「言い方次第のことっていっぱいあるなあと思いました。『これやっといて!』と言うのと、『これやってくれない?』と言うのでは、相手の捉え方もだいぶ違う。同じことを伝えたくても相手の心を考えないといけないと思うようになった」
異国での戦い「親のありがたさを感じた」
続けて澤村は力説する。
「愛は等価交換というような考えを持った人もいますけど、自分が与えたからといって、なにか見返りが返ってくると思ったら大きな間違い。やってあげていると思ったらダメだし、見返りを期待してやるのもダメ。逆に慣れてくると支えてくれる色々な方に、やってもらって当たり前と思う人もいるけど、『ありがとう』がなくなったらダメ。恥ずかしい話」
そして、たった1人での異国の地での戦いは、家族への思いも増す時間にもなった。
「アメリカに行ってそういう考え方になりましたね。親のありがたさを感じた。人間って、どうしても反抗期ってあるじゃないですか。親に対して言葉の語尾が強くなったり、言い方がキツくなったり、話を流してしまったり。離れて生活をすると大切にしないといけないという思いは、より強くなりましたね」
残念ながらMLBのマウンドで投げる姿を家族に見せる機会はなかったが、日本に戻った際は家族で旅行へ出かけた。今オフも2泊3日で日光まで足を延ばし、滝を見たりと家族水入らずの時間を作った。