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「野球では悩まなくなった」ロッテ澤村拓一(34歳)アメリカ生活で何が変わった? 早朝“250kgスクワット”筋トレ中に聞いてみた
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byKYODO
posted2023/02/15 17:10
ロッテ吉井監督も期待を寄せる澤村拓一の帰還。今季はチームリーダーとしての役割も求められる
澤村がマリーンズ入りを決めた時、印象的な出来事があった。
「アメリカに行くと決断した時も『身体に気をつけろよ』ぐらいしか言わなかった父がマリーンズに戻ると伝えると本当に嬉しそうな顔をしてくれて『いいと思う』と言ってくれた。マリーンズに戻って欲しかったのかなと思った」
日本に戻る。マリーンズのユニホームに袖を通す。その幸せを一番に実感できたのは両親の嬉しそうな顔を見た時だった。育ててくれた親が身近にいる日本のマウンドで、マリーンズがリーグ優勝を達成するために全身全霊を注ぐ。その姿を見せたい。新たな目標に、エネルギーが身体中から湧き上がってきた。
早朝から筋トレ「歯磨きと一緒ですよ」
これらの話は石垣島春季キャンプ全体練習前の午前6時半〜9時の間に聞いた。澤村は6時20分に宿泊ホテルを出発し、まずは室内練習場でウエイトトレーニングに取り組むのを日課としていた。ハードメニューの合間にもかかわらず、呼吸を落ち着かせながら丁寧に受け答えをする。
「(毎朝のウエイトは)歯磨きをするのと一緒ですよ。夜、歯磨きをしないと気持ち悪くて寝れませんよね。自分にとってはそういうこと」
しかし、それは決して歯磨きほど気軽なものではない。みっちりと自分の身体に向き合い、限界ギリギリまで追い込む。もちろん、タイムマネジメントやコンディション面をしっかりと考えての活動だ。
「練習を終えてヘトヘトになってからウエイトをやっても、あまりいい効果はないと思う。朝は静かだし、まず最初に行うことが効率的。一日も有効的に過ごせる。トレーニングをやって技術練習をやってパッと帰る。そのあとはしっかりと休む。夜は早ければ21時ぐらいに寝ますよ」
そんな澤村の背中を吉井理人監督も頼もしそうに見つめる。
「ああやって朝早くからトレーニングに励む姿を若い選手たちが見て、どう思うか。どう思ってくれるか。そういう部分も期待している」