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WBC合流前の今永昇太は「最速151km→実戦投球でホッとした表情」、鶴岡コーチの送球が美しい…二軍に主力多数、DeNAキャンプ観察
posted2023/02/17 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
那覇空港から双発のプロペラ機で約50分、横浜DeNAベイスターズ奄美キャンプのキャンプ地、奄美市名瀬運動公園には緋寒桜が咲いていた。
2月12日、球場横の小川を流れる花びらをスマホで撮影している風流な選手がいた。捕手の益子京右だ。花と記念写真を撮って「今年の目標は?」と聞くと「レギュラーっすね」と意気込んでいた。
「リハビリ途上」の2投手が投げていた
奄美大島は2019年までDeNAが秋季キャンプを張っていた。本来の二軍キャンプ地である沖縄県の嘉手納球場が改装工事に入ったため、今年と来年はこの奄美大島の地でファームは始動する。
ファームのキャンプと言っても、必ず調整中の主力選手が何人かはいる。奄美キャンプでいえば「9」大和、「23」藤田一也、「51」宮﨑敏郎、「21」今永昇太などだ。特に今永はWBCの侍ジャパンにも選ばれているが、あえて二軍キャンプで調整を続けている。
アップからキャッチボールとメニューが進む。
宮﨑と大和は、他の選手と離れて、外野フェンス付近で軽くランニングした後、キャッチボールを始めた。これも「別メニュー」のうちか。まだ他の選手がキャッチボールをしているうちに、宮﨑、大和と藤田一也はノックを受けている。3人ともに軽快にゴロをさばいていく。大きな故障はなさそうだ。ゆっくりとペースを上げて一軍に合流するのだろう。
グラウンドの外野に隣接するブルペンでは、早くもボールがミットにぶつかる音が聞こえてくる。
この日は「34」平田真吾と「109」ディアスの名前があった。
平田は今年10年目の右腕。33歳、ベテランの部類に属する。昨年は47試合に投げて4勝3敗10ホールド、防御率4.29。シーズン終了後に右肘尺骨神経前方移行術という手術を受けた。2カ月程度安静が必要とされるが、ブルペンに立つことができるレベルまで回復した。
ジョフレック・ディアスはベネズエラ出身の23歳の左腕。4年目だが2020、21年は独立リーグ神奈川に派遣され、DeNAの一軍登録はない。昨年4月にトミー・ジョン手術を受けた。この日は立ち投げだけ。この日のブルペンは「リハビリ途上」の2投手が投げたことになる。
鶴岡コーチの二塁送球が美しかった
メイングラウンドでは打撃練習が始まったが、本塁横には3人の捕手が集まった。朝、緋寒桜を横に写真を撮った「32」益子京右、「57」東妻純平、「127」上甲凌大だ。上甲は昨年、独立リーグ四国ILの愛媛時代に取材しこのコラムに書いた。目力が強く、明るい好青年だったが、DeNAに育成で入団、三桁の大きな背番号を背負いながらも物おじすることなく練習に参加している。