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三笘薫&久保建英が活躍も…W杯で生まれたサッカー熱は持続可能なのか? JFA協働プロジェクト参加学生のホンネ「3月の代表戦は…」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2023/01/24 11:02
所属クラブで活躍を続ける三笘薫(ブライトン)と久保建英(レアル・ソシエダ)。W杯で生まれた“熱”を3月の代表戦につなげることができるか
「地上波」と密接に結びついていた代表人気
さて、重要なのはここからだ。
2023年のJFAは、カタールW杯の盛り上がりを持続できるかどうか、という課題と向き合う。アプリをローンチしたのが昨年11月だったのも、W杯をきっかけにダウンロード数を増やしたいからだっただろう。
実はこれが、難しい。
日本代表のかつてのビジネスモデルは、4段階で成り立っていた。まず、国際試合が地上波のテレビで放送され、日本代表が結果を残す。
結果を残したことで選手が対外的に評価され、海外のクラブへ移籍する。
地上波のテレビをはじめとしたメディアが、ヨーロッパでプレーする選手を取り上げる。
代表選手の露出が増えることで、日本代表の試合の注目度が高まる──。
2010年の南アフリカW杯後に立ち上げられたアルベルト・ザッケローニ指揮下の日本代表は、まさにこのパターンで人気を持続していった。
南アフリカで前評判を覆して2度目のW杯ベスト16入りを果たすと、多くの選手がヨーロッパのクラブへ移籍した。それだけでなく、長友佑都や内田篤人らがチャンピオンズリーグに出場し、深夜とはいえ地上波でも放映されたことで、彼らの存在が立体感を持っていった。
日本代表の試合は、地上波ですべて放映されていた。地上波で放映される場合、事前のニュースや情報番組などで繰り返し告知される。試合を観ない無関心層や低関心層に対しても、「試合があること」が浸透していく。興味のアンテナを立てるまでもなく、多くの人が「いつ、どんな試合が行なわれるのか」という情報を目にすることになるのだ。サッカー無関心層や低関心層の日常に、日本代表が入り込んでいったのである。
一方で、2022年のカタールW杯のアジア最終予選は、地上波で放映されなかった。予選突破を決めたアウェイのオーストラリア戦は、試合終了間際に三笘薫が2ゴールを決めた。敵地でのドラマティックな勝利が地上波で放送されていたら、三笘はこの時点で広く知られていたかもしれない。