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[食を支えて18年]専属シェフが見た戦士たちの日々

posted2023/01/26 09:00

 
[食を支えて18年]専属シェフが見た戦士たちの日々<Number Web> photograph by Yoshiteru Nishi

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Yoshiteru Nishi

2004年以来、長きにわたって世界と対峙する選手を調理場から見つめ、支え続けてきた料理人・西芳照。赤いコックコートを身に纏い、腕を揮ったカタールでは南アフリカとも、ロシアとも違う感慨があったという。

 年の瀬、西芳照は御殿場にいた。

 2010年南アフリカワールドカップのスタッフによる恒例の忘年会がコロナ禍の自粛を経て数年ぶりに催された。指揮を執った岡田武史をはじめ、カタール大会のスタッフも合流して森保一も顔を出した。

 食事の席でやや怪訝そうな表情を浮かべる岡田に呼ばれた。あのことだろうなと、すぐにピンときた。

「お前、専属シェフを辞めるつもりなのか? やればいいじゃないか」

 FC今治の会長を務める岡田は、日本サッカー協会副会長という要職を担う立場でもある。南アフリカ大会後に「シェフ一人違っていても勝てなかった」とわざわざ言及してくれた人の言葉は身に染みた。

「協会の意向を踏まえて、もう一度考えてみることにします」

 日本代表専属シェフとしてワールドカップは'06年ドイツから5大会連続で参加し、選手たちの胃袋を支えてきた。今回を最後にA代表にかかわる業務からの“卒業”を公言したのは、60歳になって体力の低下を感じたというよりも、みんなとともに退路を断ってベスト8以上の目標を成し遂げたいとの気持ちがあったからにほかならない。

 ドイツ戦を4日後に控える11月19日、練習場ではチームの記念撮影が行なわれていた。選手のみならず、コーチ、裏方のスタッフもフレームに収まった。西はワールドカップ出場を決めたアジア最終予選アウェー、オーストラリア戦の際にチームからプレゼントされた真っ赤なコックコートを着込んでいた。

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