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「敗因はスター選手の不在」欧州メディアの権威・レキップ記者が語る日本代表「印象深かったのは吉田と遠藤」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byKazuo Fukuchi/JMPA

posted2022/12/10 11:05

「敗因はスター選手の不在」欧州メディアの権威・レキップ記者が語る日本代表「印象深かったのは吉田と遠藤」<Number Web> photograph by Kazuo Fukuchi/JMPA

レキップ紙のルドルズ記者は吉田のリーダーシップを高く評価した

 遠藤(航)も悪くなかった。ボランチとしてクロアチア戦では素晴らしいパフォーマンスを発揮した。それまでの試合でも能力の高さを見せたが、クロアチア戦では延長に入るまでの彼は最高だった。ボール奪取の技術に秀でているだけでなく、ボールを保持してのテクニックも素晴らしく、常に前の味方を探して攻撃を展開しようとする。後半に放ったシュートも素晴らしかった。

 この大会で私の心に残った日本の選手は彼らふたりだった。

——PK戦ですが、日本はナイーブさを露呈したと思いますか。

ルドルズ そうかも知れない。こうした大会でPK戦の機会はそうあるものではない。ただ日本の選手のほとんどが今はヨーロッパでプレーしている。つまり経験を積んでいるわけで、そんな選手たちがPK戦で経験不足を露呈するのはパラドクサルだ。

 酒井(宏樹)や長友(佑都)も今は日本に戻ったが、ヨーロッパのビッグクラブでキャリアを築いた選手たちだ。だから経験不足によるものなのかどうか……。もしかしたら若い世代はまだ十分な経験を積んでいないのかも知れないが、違いは経験の差だったのかどうか、私にはよくわからない。たしかに蹴り方は悪かったが、PK戦はロシアンルーレットでもあり運も大きく作用する。何が勝負を決めたのかよくわからない。

 今さっきモロッコがPK戦の末にスペインを下したが、経験ではスペインがモロッコを上回っている。PK戦は特殊な状況だ。日本には多少はナイーブさもあったかもしれない。

本当の敗因とは?

 それよりもスター選手がいなかったこと、違いを作り出すことのできる攻撃面でのリーダーを欠いていたことが、日本の敗因であるように私には思える。世界のトップチームにはいずれもチームの顔となるスターがいる。ポルトガルならクリスティアーノ・ロナウド、アルゼンチンはリオネル・メッシという具合だ。どこにもひとりふたりそうした規格外の選手がいる。

 しかし日本にはそうしたスター選手、違いを作り出せる選手がいなかった。そのことの方が経験よりも大きかったと私は思う。経験の点では日本の選手もヨーロッパでプレーし、ヨーロッパカップ(CLとEL)や厳しいリーグ戦を戦っている。何人かの選手はW杯の経験がないかも知れないが、普通に考えれば日本の選手が経験不足だとは思えない。

——それでは森保一監督の戦術・戦略とコーチングはどう評価しますか。

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