ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER

「敗因はスター選手の不在」欧州メディアの権威・レキップ記者が語る日本代表「印象深かったのは吉田と遠藤」

posted2022/12/10 11:05

 
「敗因はスター選手の不在」欧州メディアの権威・レキップ記者が語る日本代表「印象深かったのは吉田と遠藤」<Number Web> photograph by Kazuo Fukuchi/JMPA

レキップ紙のルドルズ記者は吉田のリーダーシップを高く評価した

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph by

Kazuo Fukuchi/JMPA

 レキップ紙はフランスで唯一の総合スポーツ紙であるだけでなく、ヨーロッパでももっとも権威のあるスポーツメディアのひとつである。ツールドフランスとパリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)を主催し、欧州チャンピオンズカップ(現UEFAチャンピオンズリーグ)もレキップ紙の発案と主導(第1回大会の2回戦まで大会開催に消極的だったUEFAではなくレキップ社が大会を運営)で始まった。

 カタールワールドカップにも、レキップ紙は21人の記者と5人のフォトグラファー、レキップTVの4人のレポーターを送り込んでいる。APなどの通信社を除き、ひとつのメディア・媒体としては最多の取材体制だろう。フランス代表はもちろん、他の優勝候補国にも複数の記者を担当につけている。

 日本代表はそこまでの扱いではないが、それでも担当記者はついた。大会を通して日本代表を見続けたフランク・ルドルズは、初めて本格的に接した日本サッカーに何を感じたのか。クロアチア戦の翌日、ドーハからパリに戻る前夜に話を聞いた。

日本は得点能力に欠けていた

——日本のW杯での戦いぶりをどう見ましたか?

ルドルズ ちょっとパラドクサル(逆説的)ではあったが、ふたつの大国を破ってグループを突破することができた。ドイツとスペインに勝ったのは大変なことで、日本はこのW杯で成功を収めたといえる。結果を得たのは貴重なことだ。同時にコスタリカに敗れたのは逆の意味で驚きだった。

 ベスト16はW杯における日本の定位置になりつつある。ベスト16の壁は今回も突破できず、さらなる一歩を踏み出すことはできなかったが、PK戦にまで至ったのだからあと少しであるのは間違いない。PK戦も2010年に続き2度目だし、2002年はトルコに0対1、4年前はベルギーにやはり1点差で劇的な敗戦を喫しており、その点では今回も少し不満が残る。

 クロアチア戦は本当に素晴らしい試合で、日本は内容でクロアチアを少し上回っていた。安定したパフォーマンスを維持し続けて、最後は攻めきれずに多少守備的になったきらいもあったが、そう大したことではない。ベスト8へと至れる力を持ち、相応しい戦いをしたのに到達できなかったのはとても残念だ。選手や監督は悔しさでいっぱいだろう。これが勝負とはいえフラストレーションが残ったのは間違いない。

——クロアチア戦の敗因は何だと思っていますか。疲労により日本のフィジカルが落ちて、後半途中からパフォーマンスを低下させたのが原因でしょうか。

【次ページ】 印象に残る2人の選手

1 2 3 4 NEXT
森保一
サッカークロアチア代表
伊東純也
吉田麻也
遠藤航
酒井宏樹
長友佑都
レキップ
カタールW杯
ワールドカップ

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ