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「ギリギリまで考えました」森保一監督がW杯直前に西野前監督に明かしていた選手選考のポイントとは?「最終的には個々の力が…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsutomo/JMPA
posted2022/12/05 20:00
日本人監督として初めて4年間の任務を全うし、W杯に臨んだ森保一監督。グループリーグはドイツ、スペインという強豪を破り1位で突破した
選手選考のポイントとは
森保 西野さんの場合はあのタイミングで監督に就任されて、選手がどのように成長しているか、評価するのが非常に難しかったと思うんです。だから最終的に経験重視になったところもあるのかなって感じました。我々も一つのポジションに経験のある選手、若い選手の両方がいて、どちらを取るかとなったときに、比較するのはもちろんですが、グループ全体のことも考えます。その議論の中で「西野さんはどうやって選んだのかな」って凄く考えました。今のベストメンバーで臨んで、未来につなげていこうという選考だったんじゃないか、と。
西野 未来ってところまで考える余裕はなかったよ。ただブラジル大会があって、リオ五輪があって、結果が出なかった悔しさを次につなげることを考えるなら経験値に頼らざるを得ない。任された期間が短い中で、若い選手に経験させるという基準はなかった。頭にあったのは、このロシア大会で最高のチャレンジをして、日本サッカー界の発展をつなげることだけだった。
4年前のロシアW杯の時との違い
森保 今回とは時間軸の違いも関係するとは思うんです。僕は4年という時間を与えてもらって、選手の比較もある程度できましたから。最終的には個々の力がどうだっていうところで選考させてもらいました。
西野 確かに時間が限られていた部分はあった。でも本大会前に監督が代わるという危機感や反骨精神を、選手たちはストレートに出してくれたと思うね。それまでJリーグ監督の立場から見る日本代表は、世界との戦いにおいていつの間にか重心を下げてしまうとか、積極性がなくなっていくとか、そんな印象が俺にはあったんだよ。ロシアではわずかな準備期間だったけど、選手たちには「アクションを起こしたらアグレッシブにプレーするんだ」と、俺だけじゃなくてポイチやテグ(手倉森誠)らコーチングスタッフも促してくれた。これも大きかったよ。