#1063
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[誌上作戦会議]森保一×西野朗「ベスト8へのバトン」

2022/11/18
森保監督が決戦の地・カタールへ出発する直前、W杯を知る頼もしき“先輩”との再会が実現した。4年前、グループ突破の喜びと16強敗退の悔しさを監督とコーチという関係で共有した2人が、ベスト8への壁を越えるための戦略を語り合う。

西野 今回のメンバー発表は、年齢順なんだなって途中で分かったよ。ポイチは一人ひとりちゃんと選手の名前を言っていたね。俺はロシアワールドカップのときに名字しか言わなかった。「遠藤」と発表して、航のほうなんだけど、ヤット(遠藤保仁)が瞬間的に自分かと思ったらしい。

森保 かなり緊張しましたね。選べなかった選手のことが頭をよぎりますし、名前を絶対に言い間違えちゃいけないっていうのもありましたから。普段、ニックネームで呼んでいる選手もいますからスタッフがルビを振ってくれていたんですよ。それでも僕、老眼で会場も薄暗かったため、紙の上で名前を追う指を外せなかったですね。

西野 当日の朝まで悩んだらしいね。

森保 ギリギリまで考えました。

西野 ロシア大会(の選考)では経験値とポリバレント性のある選手を基準に置いた。俺は本大会の2カ月前に(ヴァイッド・)ハリルホジッチ監督に代わって技術委員長から代表監督に就任したわけだけど、欧州に渡って一人ひとり面接してコアのメンバーに対しても、役割を自分の口で直接伝えた。それまでの主力選手に「バックアップとして起用する可能性もあるかもしれないが、そこでトップパフォーマンスを出してほしいんだ」とか。そこまで伝えて理解してもらったうえでチームに入ってもらったよ。

森保 西野さんの場合はあのタイミングで監督に就任されて、選手がどのように成長しているか、評価するのが非常に難しかったと思うんです。だから最終的に経験重視になったところもあるのかなって感じました。我々も一つのポジションに経験のある選手、若い選手の両方がいて、どちらを取るかとなったときに、比較するのはもちろんですが、グループ全体のことも考えます。その議論の中で「西野さんはどうやって選んだのかな」って凄く考えました。今のベストメンバーで臨んで、未来につなげていこうという選考だったんじゃないか、と。

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photograph by Naoyoshi Sueishi

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