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「なぜミトマを先発させない?」「ヨシダは大きくクリアでよかったはず」現地でコスタリカ戦を取材した海外記者の本音…日本をどう見た?
text by
セルヒオ・レビンスキーSergio Levinsky
photograph byGetty Images
posted2022/11/28 18:40
81分、コスタリカがこの日唯一となる枠内シュートで先制ゴールを挙げた。肩を落とす三笘薫
ただし右サイドのエース、伊東純也を外したことは結果的に逆効果になったと言えまいか。またドイツ戦で試合の流れを決定的に変えた三笘薫を、最初から起用してもよかったと思う。左サイドで初先発した相馬勇紀は、積極的な姿勢が好印象を与えたものの、大舞台でのクオリティーにおいては三笘に分があるように見えた。
あるいは森保監督は、コスタリカが引いてきて日本の攻撃陣が使えるスペースに限りがあると予想し、スピーディーな伊東や三笘を先発から外したのかもしれない。そうであれば、分厚い守備陣を技術で崩すタイプの久保建英を使ってもよかっただろう。
時が進んでいくにつれて相手の超守備的なアプローチがわかってきても、森保監督は攻撃面に変化を起こそうとしなかった。前半のうちに3-4-3に移行し、ハーフタイムには浅野拓磨と伊藤洋輝を投入してその形を整えようとしたが、望んだ効果は生まれなかった。5バック気味に守る相手に対し、1トップで戦い続けるのは、いかにも心許ない。指揮官の脳裏に2トップの選択がなかったのであれば、待ち構える敵を崩していく別のプランをいくつか用意しておくべきではなかったか。
心理的な背景を考慮すれば、森保監督の采配も理解できないことはない。完全に劣勢に立たされたドイツ戦で、自らの戦術変更と選手交代で流れを引き寄せ、劇的かつ歴史的な逆転勝利を遂げたのだ。次も同じ手を打ちたくなったとしても不思議ではない。
しかしこの日は、動きが実に遅く感じられた。三笘の投入はドイツ戦より5分も遅い62分で、伊東は67分。ブライトンで活躍する前者は、プレミアリーグという世界のトップレベルでもそのドリブルが通用することを証明しており、ドイツ戦でも日本の一番の武器になっていた。コスタリカ戦でも左サイドを深くまで抉って、鋭い折り返しでチャンスを創出していたが、この日はゴールに結びつかなかった。日本では古くから“決定力不足”という言葉が頻繁に使われているようだが、それは現在の日本代表にも当てはまりそうだ。特に最前線に頼れるストライカーがいないように見える(もっともそれは多くの代表にも言えることだが)。