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ドラフト抽選「くじ引く人」はどう決める? 天中殺、競馬の強さ、就任直後の新監督…あの“通算勝ち星7位”の名将は「通算10連敗」だった 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/10/20 11:07

ドラフト抽選「くじ引く人」はどう決める? 天中殺、競馬の強さ、就任直後の新監督…あの“通算勝ち星7位”の名将は「通算10連敗」だった<Number Web> photograph by JIJI PRESS

天に運を任せるしかないと思われる『ドラフト抽選』に“持っている男”や“持っていない男”は存在するのだろうか?(写真は2019年ドラフト会議)

 甲子園で春夏連覇を果たした横浜高校のエース・松坂大輔を指名した1998年は、西武、横浜と競合。最初にくじを引いた上田監督は、箱から3つの封筒を取り出すという前代未聞の行動に出る。その中から1番下を取ったが、通算10連敗を喫して上田監督のくじ引き人生は終焉を迎えた。

 ドラフトが重複抽選方式に変わった1978年の秋以降、上田監督は阪急・オリックスで10年、日本ハムで5年指揮を執っている。そのあいだ優勝は1回で、2位に7回もなっている。もし1度でも抽選に勝っていたら、あと数回美酒を味わえていたかもしれない。

「新監督=抽選で当てやすい」説…確率を出してみた

 今回、重複抽選を全て調査し、くじ運の良い人物の傾向を探った。ドラフトの歴史を振り返ると、就任直後の新監督が当てていそうなイメージがある。

 長嶋茂雄監督が事実上の解任を通告され、王貞治選手が引退を決めた1980年、巨人の藤田元司監督は4球団競合の末に原辰徳(東海大学)を引き当て、チームに漂う沈滞ムードを払拭した。1992年、12年ぶりに復帰した長嶋茂雄監督は阪神、中日、ダイエーと競合の末に松井秀喜(星稜高)の交渉権を得て、サムズアップを繰り出した。

 他にも1986年に中日の星野仙一監督が近藤真一(享栄高)、1995年に近鉄の佐々木恭介監督が福留孝介(PL学園高)、最近では2018年に中日の与田剛監督が根尾昂(大阪桐蔭高)の抽選に勝利している。

 1978年から2021年までの間、1位指名の重複抽選に登場した新監督(再登板含む)は延べ52人いた。その際、当たりを引く可能性は34.4%あった。しかし、実際に当たった新監督は16人で30.8%と確率的にはやや下回る結果になった。

 つまり、記憶には強く残っているが、新監督がくじを当てやすいという傾向はない。やはり、ドラフトの抽選は天に運を任せるしかないのか。しかし、ある球団の動向を追うと、1つの法則性を発見した――。《つづく》

参考文献:日刊スポーツ、スポーツニッポン、報知新聞(スポーツ報知)、サンケイスポーツ、デイリースポーツ、東京中日スポーツ、週刊ベースボール、日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト

#2に続く
ヤクルトはドラフトでなぜ“持っている”のか? 伝説は“くじ運最強の社長”から小川GMまで…球団職員「そのツキで私の宝クジを買って下さい」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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