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夏前は「こんなんで箱根は出られない」→55年ぶり箱根駅伝出場、立教大・上野裕一郎監督が明かすひと夏の変化「予選会も監督の指示通りです」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/10/18 17:06

夏前は「こんなんで箱根は出られない」→55年ぶり箱根駅伝出場、立教大・上野裕一郎監督が明かすひと夏の変化「予選会も監督の指示通りです」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

55年ぶりの箱根駅伝出場を決めた立教大学。その裏には上野裕一郎監督就任をはじめとした周到な“5カ年計画”があった

こんなんで箱根はまず出られない

 箱根予選会では5名の1年生を出走させたが、77位と結果を出したのは安藤圭佑だけ。それでも100位内に斎藤、中山、安藤、関口絢太が入り、翌年に向けて可能性が広がった。

 そして、今シーズンを迎えた。

 上野が箱根の予選会を見据えた上で重視していたのが6月の全日本大学駅伝の地区選考会だった。2人一組で走り、4組の合計タイムで上位7チームが本戦に出場できる。上野はコース特性を把握し、選手の区間割、宿舎など考えて進めるぐらい自信があったが、立教は11位に終わった。本戦出場を果たした7位の日大との差は約2分だった。

「こんなんで箱根はまず出られないと思いました。最初からグタグタで、去年と変わらない。この状況に危機感を感じて全員が一致団結して夏を乗り越えていければ箱根が見えてくると思うんですけど、このままグタグタがつづくならとてもじゃないけど箱根は走れない。そこそこの戦力が揃っているけど、気持ちややる気は選手個人の問題。心の底から自分が箱根に行くんだぞっていう気持ちが出て、みんなで行くぞという団結心がなければ箱根は難しい」

夏合宿で一気に箱根に行くぞというムードが高まった

 夏前の段階では、箱根に出たいと選手は言っていたが、上野からすれば、それは「言ってるだけ」のように見えた。上野いわく「過保護なチーム」のためか、選手同士が優しく、お前を蹴落として絶対にメンバーに入ってやるみたいな空気はない。血反吐(へど)を吐き、限界まで追い込むぐらいの練習をこなしていかないと箱根の常連に太刀打ちできない。そう思ってさらに厳しく行こうと考えていたが、夏になると選手たちに本気で取り組む姿勢が見えてきた。

「夏合宿で一気に箱根に行くぞというムードが高まり、予選会まで故障者もなく、非常にいい状態でくることができました」

 箱根予選会、上野は戦術を変えた。

【次ページ】 足がフレッシュなうちに前にいっとけ

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