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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
W杯前“最後のアピール”に成功した選手は? 中村憲剛が欧州遠征を総括「なんと言っても鎌田大地」「相馬勇紀が26人に残る可能性も」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/04 17:02
4-2-3-1で自身の強みを存分に発揮した鎌田大地。フランクフルトでも好調を維持しており、W杯で日本代表の攻撃の中心を担うことが期待される
メンバー入りの可能性を示した相馬勇紀
さて、W杯のメンバー入りに向けて、アピールに成功した選手は誰だったのか。個人的にはなんと言っても鎌田大地です。
彼のこの2試合でのパフォーマンスに触れないわけにはいきません。アピールどころかチームの主役であることを、自らのプレーで改めて示しました。前述したように、彼の存在が4-3-3から4-2-3-1への変更を決断させたと言ってもいいパフォーマンスでした。また、彼と中盤の三角形を組んだ遠藤、守田も素晴らしいパフォーマンスを見せました。
アピールが成功したかどうか、という観点から言うと、相馬勇紀が可能性を膨らませたのではないか、と見ています。
エクアドル戦で三笘薫に代わって出場し、左サイドからチャンスメイクしました。三笘とはドリブルのリズムもテンポも違うので、対峙する右SBはかなり苦慮したでしょう。
しかも、5-3-2へシステムが変更されると、そのまま左ウイングバックに入りました。所属する名古屋グランパスでもやっているので、無理なくポジションを変えられたのでしょう。ひとりで複数システムに対応できる存在でもあるので、4-2-3-1が主戦術となれば残る可能性があるかもしれない、と見ています。
左サイドを争う選手では、三笘がアメリカ戦でダメ押しの2点目を決めました。川崎フロンターレ在籍時から彼を観てきた僕からすると、アメリカ戦は率直に言ってボールフィーリングが良くなさそうに映りました。でも、そういうなかでもゴールを決めるのが三笘薫なんだよな、と過去の試合を思い出しながら見ている自分もいたんです。
Jリーグ初ゴールがそうでした。プロ1年目の20年7月、ホームの湘南ベルマーレ戦でした。0対1とリードされた直後に途中出場して、前の試合ですごく良いパフォーマンスを見せていたので、みんな期待していたんです。ところが、ボールタッチも判断も悪く、ボールを失うことも多い。リハビリ中でスタンドから観ていて、これは代えられちゃうんじゃないかとさえ思ったのですが、同点に追いついたあとにドリブルから2点目を決めたのです。そこから彼のステップアップのストーリーが始まっていきました。
アメリカ戦もボールフィーリングがいまひとつのように見えましたが、僕自身は最終的には取るんじゃないかなと思っていました。そして、その通りになりましたね。スタメンでも途中からでも一発があるかもしれない……彼に期待したくなるのは、僕だけではないのではと思います。
また、ユニオン・サンジロワーズでプレーした昨シーズンは、ウイングバックを任されていました。彼も相馬と同じように、システム変更に対応できる。ポリバレントな選手がいることで、戦術的な幅が広がります。
<後編へ続く>