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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
W杯前“最後のアピール”に成功した選手は? 中村憲剛が欧州遠征を総括「なんと言っても鎌田大地」「相馬勇紀が26人に残る可能性も」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/04 17:02
4-2-3-1で自身の強みを存分に発揮した鎌田大地。フランクフルトでも好調を維持しており、W杯で日本代表の攻撃の中心を担うことが期待される
W杯でも「中3日」あれば対戦国は対策を練ってくる
アメリカには2対0で勝利し、エクアドルとは0対0で引き分けました。エクアドルは強かったですね。南米特有の「個」のうまさや力強さがあり、ビルドアップやプレスのかけ方といった攻守のコンセプトが整理されていました。
エクアドルは日本をしっかり分析していました。ビルドアップでは、20番のメンデスが2枚のCBの間に入り後ろを3枚気味にすることで、日本の前線からのプレスを空転させ、ハマらないようにしてきました。それでも日本がコンパクトにして前からプレスをかければ、それに付き合ってビルドアップを試みるのではなく、いさぎよく日本のDFの背後にロングボールを入れて間延びさせようとしてきました。そもそも持っている自分たちの戦術に、日本攻略の要素を組み込んできた印象です。
それに対して日本は、アメリカ戦に出場しなかった選手がスタメンに並び、いくつかのセクションで初めての組み合わせがありました。準備段階で両チームには差があり、日本はエクアドルのプレッシャーを真正面から攻守で受けてしまったな、と。
アメリカ戦からエクアドル戦は中3日でした。W杯に出場してくるチームなら、3日もあれば相手を分析し、どうやって自分たちの流れに持っていくのかを戦術の落とし込みも含めて整理して臨んでくる。W杯では日本のドイツ戦を見たコスタリカが、コスタリカ戦を見たスペインが、分析したものを実践してくると考えておくべきです。
今回の2試合は目の前の敵と戦いつつも、自分たちの手の内を見せ過ぎないという意識が働いていたのかもしれません。セットプレーについては、ほとんど見せていないと思います。
どちらの試合でも終了間際に5バックに変更したことは、選手たちに対してメッセージ性の強いものになったかなと思いました。普段の強化試合ではなかなかやることのない、本番を睨んだものと言えます。守り切るためのオプションです。
アメリカ戦は5-4-1のような形、エクアドル戦では5-3-2のような形で、伊東純也を2トップの一角にしました。スタッド・ランスでの起用法を生かそうとしている。こういう形もあるよ、という森保監督からの提示だったのでしょう。
本番を意識した采配が見られたわけですが、これをもう少し前からやっても、選手はピンと来ないところがあります。ある程度メンバーが固まってきたなかで本番を意識させるのは、W杯への準備として分かりやすい。
実際に本大会で勝っている展開、失点したくない展開が訪れた時に、まったくやっていないとか口頭で伝えられただけでは、試合終盤の膠着したなかで混乱をきたすかもしれない。時間的には短くても事前に試したという経験が、本番では支えになると思います。