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「野球留学生が増える=強くなる」は本当か? 夏の甲子園「都道府県別勝利数」で明らかになった新事実! “地元の球児に限らない”参加校は戦前にも 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/08/17 11:02

「野球留学生が増える=強くなる」は本当か? 夏の甲子園「都道府県別勝利数」で明らかになった新事実! “地元の球児に限らない”参加校は戦前にも<Number Web> photograph by AFLO

「野球留学生が増える=強くなる」は本当なのか。夏の甲子園「都道府県別勝利数」を見てみると…

「野球留学生が多い=強い」は本当か?

 実際、どのくらいの“野球留学生”がいるのか。日本高野連は2005年に『野球留学検討委員会』を設置し、1996年から2005年の10年間で『甲子園出場校で県外選手が多かった都道府県』の調査発表を行なった。“自宅通学が可能な隣接県を除いた都道府県の中学出身の選手”を野球留学生と認定した同資料によれば、夏の大会のベスト5は以下になる。

1位:香川 86人
2位:高知 84人
3位:山形 82人
4位:青森 80人
5位:宮城 50人

 日本高野連は近年、この発表をしておらず、限定的な調査となったが、重要な資料に変わりはない。“野球留学生”は、都道府県別勝利数ランキングに影響を及ぼしているのか。総合30位から22位の勝利数の横にある4つの各年代の順位変遷を見ながら、考えてみよう。

【夏の甲子園「都道府県別勝利数」30~22位】
22位 香川 68勝(10位タイ→19位タイ→28位→46位)
23位 鹿児島 67勝(25位タイ→35位タイ→6位タイ→22位タイ)
24位 徳島 66勝(最下位タイ→23位→9位タイ→26位タイ)
25位タイ 岡山 64勝(32位タイ→19位タイ→19位タイ→33位タイ)
25位タイ 熊本 64勝(15位タイ→31位タイ→14位タイ→33位タイ)
27位 長野 62勝(6位→25位タイ→39位タイ→39位タイ)
28位 栃木 59勝(32位タイ→16位タイ→38位→16位タイ)
29位 大分 58勝(29位タイ→21位→23位→43位タイ)
30位 福井 57勝(25位タイ→25位タイ→26位タイ→22位タイ)

香川は“県外選手が多い時期”に低迷

 総合22位の香川は『年代1』で10位タイ。プロ野球創成期を引っ張った水原茂(巨人)は高松商で2度の全国制覇、三原脩(大日本東京野球倶楽部)は高松中でベスト4に進出。いずれも地元出身選手である。香川は『年代1』『年代2』の合計で15位タイと好位置につけていたが、『年代3』『年代4』では低迷。特に2000年代は3勝、2010年代は4勝しか挙げていない。前述の“野球留学生”ランキングでは1位だったが、その調査期間(1996年~2005年)は5勝のみ。野球留学生を増やせば甲子園で勝てるわけではないことを図らずも実証している。

 徳島は『年代3』で9位タイ。1970年代後半から1980年代前半にかけて、“攻めダルマ”こと蔦文也監督率いる池田が旋風を巻き起こした。“やまびこ打線”と呼ばれて全国制覇をした1982年の主力である畠山準(南海)や水野雄仁(巨人)は地元の選手であり、野球留学生に頼ったわけではない。翌年、池田は準決勝で桑田真澄(巨人)、清原和博(西武)の1年生コンビ擁するPL学園に破れ、1つの時代にピリオドが打たれた。ちなみに、新聞報道によれば、この年野球留学生がベンチ入り15名の半数を超えたのは奈良の天理10名と西東京の創価9名の2校しかなかったという。

【次ページ】 昭和のスターは“地元出身”が中心

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