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「チームの真のリーダーは私」トルシエが語る02年日韓W杯の真実と22年日本代表の成熟「私の意図は理解されなかった」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGatty Images
posted2022/08/03 11:02
トルシエが率いた2002年の日本代表を中心選手として牽引した中田英寿。チームをベスト16に導いた
「その通りで、私の意図は理解されなかった。私がそう語ったのは、監督はすべての問題を解決できるわけではないからだ。監督は重要だが全能ではない。選手が引き受けるべき責任もある。
トルコ戦で私が彼らに伝えたかったのは、リラックスしてプレーして欲しいということだった。もちろん重要な試合だから最大限の力を発揮することが求められるが、同時に心理的には多少解放された試合になるはずだった。ここまでくれば失うものは何もない。
ただ、すべてを失う可能性もあった。トルコに敗れるのは失敗に等しいと見られかねないからだ。トルコは世界のサッカーを象徴するチームではなかった。最終的にトルコは3位で大会を終えたし、セネガルや韓国を破った。それはポジティブな面でもあった。というのも日本がトルコに敗れた日に、韓国はイタリアを破ったからだ。
トルコを破る方法はふたつあった
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日本にとって残念だったのは敗れた相手がトルコだったことで、トルコはサッカー大国ではなかった。第二に直後に韓国がイタリアに勝利した。それが日本のグループリーグ突破を色あせたものにした。しかし日本が敗れたトルコは、大会で3位になったチームだった。素晴らしいチームだった。
話を戻すと、選手たちは若く、責任を背負える状態ではなかった。だからこそ再び戦うのであれば、2022年のチームでトルコ戦に臨みたい。
私の言葉は、当時は時期尚早だった。だからトルコ戦をもう一度やり直すのであれば、私は選手にあのときと同じ責任は背負わせずに私がリーダーであり続けたし、同じ背広を着続けただろうということだ。そしてもし同じメッセージを発するのであれば、それは2022年のチームに対してだ。
トルコを破る方法はふたつあった。ひとつは私が同じスーツを着続けてリーダーであり続けることであり、もうひとつは私がスーツを着替えて当時と同じメッセージを選手に発することだ。ただ、その相手は2022年のチームだ。それが君の質問に対する私の答えだ」
<#3に続く>
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