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「クボもソシエダ移籍できたから御の字」「日本人だと、Jで活躍しても…」ブラジル敏腕代理人が“久保建英らの移籍ウラ事情”を明かす
posted2022/08/01 20:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Daisuke Nakashima
日本人とブラジル人のヨーロッパ移籍について、まず話を聞いたのが、代理人の橋本幸一さん(53)である。
15歳でブラジルへ渡り、サンパウロ州の中堅クラブ、キンゼ・デ・ジャウー(その後、カズこと三浦知良も在籍した)のアカデミーで練習を積んでプロ契約。後に、名門コリンチャンスの一員ともなった。
現役引退後は、ブラジル人選手や監督を日本や欧州のクラブへ送り出している。
代理人はメガクラブと中小クラブ、どう選ぶ?
――久保建英がFC東京からレアル・マドリーへ移籍した当時、FC東京が「18歳の誕生日に満了する内容だった」と明かしています。久保ほどの選手を譲り渡すのに、なぜ移籍金を受け取ることができなかったのでしょうか?
「彼がスペインから日本へ戻ってきたとき、Jリーグのクラブの間で争奪戦となった。その際、FC東京は『契約期間を18歳の誕生日までとして、その時点で外国のクラブからオファーがあれば移籍金なしでの退団を認める』という条件を提示した。だからこそ、彼を獲得できたのだろう」
――なるほど。しかし、常識的に考えれば、FC東京からレアル・マドリーへ入ってもすぐに試合に出場するのは難しい。まず欧州の中小クラブへ移籍し、そこで実績を積んでからビッグクラブ入りを目指す、という選択肢もあったのでは?
「マドリー以外のクラブからもオファーがあったなら、その選択肢を取ることもありえた。しかし、彼の場合、マドリーが提示した条件がバルセロナなどを上回っていたようだ」
――超名門クラブから最高の条件を提示されたのであれば、断わる理由は特にないわけですね。でも、仮に橋本さんと代理人契約を結んでいる選手に欧州のビッグクラブと中小クラブからオファーがあり、中小クラブからより良い条件が提示されたとしたらどうしますか?
「双方のクラブのチーム事情にもよるね。中小クラブの方が条件が良くて、クラブと監督が彼を本当に欲しがっていて、出場機会も多いと判断したら、中小クラブを選ぶかもしれない。もちろん、選手とよく話し合って決める」
移籍金の高さは、やはりその後の期待値になる?
――マドリーは2018年にビニシウスを、2019年にロドリゴを獲得するために、各々、4500万ユーロ(約62億4000万)の移籍金を費やしています。一方、久保の場合は移籍金が発生しなかった。クラブにとって、このことは大きな違いとなるのでしょうか?あるいは移籍金の額がどうであろうが、入団したら横一線?